【2018 成長への展望】セイコーエプソン社長・碓井稔さん(62)


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 ■欧州市場に「ペーパーラボ」今年、投入

 --2025年に向けた「長期ビジョンEpson(エプソン)25」を掲げる。1年を振り返って進捗(しんちょく)はどうか

 「昨年はエプソン25の基礎固めの時期だった。ビジョンに掲げた4つのイノベーションのうち、プリンティング領域では、使用済みの紙を元に再生紙を生産する『ペーパーラボ』の生産体制が確立し、スタートラインを切れたと思う。非常に高い関心を持たれており、今年拡販していく。目標は年間60台。今年はドイツなど欧州に投入する」

 --インクジェット式プリンターにも注力してきた

 「インクジェット式はレーザー式より高速印刷が可能だが、ユーザーにはレーザー式の方が速いという先入観がある。それを払拭できるだけの商品を出せ、また市場の反応も良いため今後はレーザー式をインクジェット式に置き換えていく。大容量タンク搭載のインクジェット式が特に東南アジアなど新興国で好調で、いま大増産をかけているところだ。印刷コストが安いため、コストを気にせず使ってもらえることが人気の理由だ」

 --ペーパーレス化の進展で印刷需要は縮小していくとみられている

 「いや、言われるほど印刷需要は減っていない。多くの人が紙にアウトプットした方が分かりやすく、従って生産性が高いと判断している。印刷コストが安ければ需要は減らないのではないか」

 --その他の分野はどうか

 「プロジェクターなどビジュアル領域は、プロジェクションマッピングのように空間を彩るという新たな価値を実現する『高光束』製品の展開を進めており、今年も続ける。一方、ウエアラブル領域はアナログ腕時計の新ブランド『TRUME(トゥルーム)』を投入した。ブランド定着までは少し時間がかかるが、今年も市場にしっかり浸透させていきたい」

 --ロボット事業を成長分野とみている

 「中国を中心に自動化・省人化の流れが大きく動き始めている。17年度、生産ラインで人と並んで作業に当たる『ヒト協調ロボット』市場に参入し、25年度のロボット事業の売上高は1000億円を目指す」

 --昨年相次いだ品質データ改竄(かいざん)をどう見る

 「生産現場の規律を徹底することが大切だ。ただ、現場はコスト削減などさまざまなプレッシャーを受けている。経営サイドも風通し良く現場の困り事を聞き、判断する環境をつくっていく必要がある」

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【プロフィル】碓井稔

 うすい・みのる 東大工卒。1979年信州精器(現セイコーエプソン)入社。生産技術開発本部長、研究開発本部長、常務取締役などを経て2008年6月から現職。長野県出身。