いきなりステーキ社長 ペッパーランチ事件から一転、成功収めた「賭け」 (1/5ページ)

 2013年に銀座に1号店を出店し、わずか5年で187店舗に拡大したステーキ店「いきなり!ステーキ」。(夏目人生法則)

 「いきなり!」と言うが、肉が出てくる前に旨そうな匂いでやられる。肉は注文カウンターで、「リブロースステーキ」1グラム当たり6.9円、「本格熟成国産牛サーロインステーキ」1グラム10円など、量り売りで注文する。しばし待つと、ジュワーッという音とともに肉が出てくるが、前菜はサラダ程度、デザートはないから、顧客の平均滞在時間はランチで20分程度、ディナーでも30分程度しかない。

リブロースステーキ

リブロースステーキ

ここで少し、数字の話をしたい。

 飲食店の費用は、家賃、人件費、原価がそれぞれ売り上げの3割程度で、利益が1割程度が相場と言われる。だが、この数字は相場に過ぎない。

 仮に客単価3000円、10席、客が2回転しかしないステーキ店があったとしよう。1日の売り上げは6万円、家賃、人件費、原価はそれぞれ1万8000円で、利益は売り上げの1割、6000円となる。

 しかし仮に、900円の肉を半額の1500円で出したとしよう。原価率6割という「逆ボッタクリ価格」の上、立ち食いにして回転を早めたら、席が8回転したとする。売り上げは10席×8回転×1500円だから12万円。原価は10席×8回転×900円だから7万2000円。しかし家賃と人件費は変わらず1万8000円だから……。

 12万円-7万2000円-1万8000円-1万8000円=1万2000円

 あれ? お客さんに普段3000円で出す肉を1500円で出しているのに、利益は倍増しているではないか。

 これが創業者、一瀬邦夫氏の一世一代の発明だった。では、なぜこの発明がなされたのか?

東証一部に上場し、取材に応える一瀬邦夫社長

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母子家庭で貧しかったステーキ王