【2018 成長への展望】高島屋社長・木本茂さん(61)


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 ■日本橋から美しい暮らしスタイルを

 --今年の消費動向の見通しは

 「26年ぶりの株高に伴って高級品の動きが好調だ。また日銀短観の先行き見通しも良く、今後の賃金に波及することで小売業に好影響がもたらされるよう期待している。とはいえ、中間所得層の財布のひもはまだ固い。年間購入額100万円以下のカード会員への売り上げは、昨年上半期に4%落ち込んだ。悲観はしていないが、節約志向から消費拡大へ向かうには、社会保障をはじめとした将来不安の解消が必要だ」

 --今年は、日本橋高島屋を核とした都市型ショッピングセンターがオープンする

 「子会社の東神開発が半世紀以上培ってきた都市開発のノウハウを生かし、春から秋にかけ順次オープンする。現在、ニューファミリーの人気が高い流山おおたかの森(千葉県)で進めている商業施設の開発と合わせ、『面』のまちづくりを進める戦略の象徴となるだろう。2館から4館体制に、売り場面積も4万8000平方メートルから6万6000平方メートルとなり、広さのハンデも解消する。日本橋地区は三井不動産がまちなみの魅力を向上させたが、われわれも美しい暮らしのスタイルを発信し、多くの人に喜んでもらいたい」

 --訪日客の買い物需要への対応は

 「母数が大きくなって伸び率は鈍化しても、安定的に成長していく分野だ。かつての爆買いからショッピングを楽しむ買い方に変化している。たとえば化粧品は、本物が一堂にそろってカウンセリングも受けられるという百貨店の便利さが好まれている。地方・郊外店への波及につなげたい。高島屋新宿店に昨春開いた空港型免税店も、高級品から日用品中心に見直すなどして持ち直している状況だ」

 --品ぞろえや売り場の改革にどう取り組む

 「各アパレルの女性スーツだけ集めた売り場を新宿店と横浜店に設け、好評だ。またベビー用品・子供服を再強化するため、売り場を広げ育児コンサルタントの資格者を増やしている。『効率商品』だけ追わず、館全体で品ぞろえを最適化し、魅力を打ち出したい」

 --地方・郊外店の活性化が業界共通の課題だ

 「中間決算(3~8月期)時点で12店中2店が赤字だったが、前期の6店赤字から改善している。2館体制を1館にした米子店(鳥取県)、ニトリにテナント入居してもらった立川店(東京都)など、店ごとに手を打った結果、通期では全店黒字を達成できそうだ。百貨店にとって地域共生は重要なテーマであり、店舗の閉鎖は今のところ考えていない」

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【プロフィル】木本茂

 きもと・しげる 横浜市大商卒。1979年横浜高島屋(現高島屋)。横浜店副店長、執行役員新宿店長、常務取締役企画本部副本部長などを経て、2014年2月から現職。東京都出身。