【2018 成長への展望】丸紅社長・国分文也さん(65)


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 ■電力版ウーバーなどIoTで効率化

 --中期経営計画の投資目標などを下方修正した

 「これまで十数年間は金融緩和で、格付けが多少悪くても資金調達できたが、米国経済は過熱気味で金融緩和は縮小していく。有利子負債の返済を優先し、財務体質を改善しておくことが重要だ。2018年度に有利子負債比率を1倍程度に引き下げる計画は予定通りだが、資産入れ替えのスピードは少し上げていきたい」

 --成長投資は

 「商社はこれまで資産を積み上げ、そこからの利益を重ねてきたが、これからも本当にそうだろうか。従来型流通の米トイザラスなどが苦戦する一方で、店舗など資産を持たない世界最大の小売りや配車アプリが席巻する時代だ。ビジネスモデルの変化で既存投資事業の価値が下がる可能性もある。必要な資産をプラットホームとして持ち、化学反応が起きる投資をして、付加価値の高いビジネスモデルにつなげたい」

 --昨年立ち上げたIoT(モノのインターネット)・ビッグデータ戦略室の成果は

 「情報技術の視点でいかに事業を効率化し、新モデルにつなげられるか。100を超える社内応募の中で12案件に補助金を付けて実証試験に入っている。今年はもっと広範囲に発展させ、組織連携していきたい」

 --そのための処方箋は

 「商社の商品軸による縦型組織では限界がある。横軸を通すためには、全部門が持つ資産や商品、顧客ネットワークなどを全部テーブルに出し、可視化し、若い人も含めて社員全員で共有してもらう。その上で自分の仕事にどう使えるか工夫してもらいたい。知的な発想の勝負になる。オープンイノベーションにも取り組む。シリコンバレー、中国、イスラエルに人も予算も付け、何が起きているのか情報収集してもらう」

 --強みの電力事業をどう進化させるのか

 「英国の卸売りから電力小売りの子会社、スマーテストエナジーは中小発電所の電力をまとめて、需要に応じて販売する『電力版ウーバー』を手がけており、これを進化させてアジアなどに横展開したい。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の産業向けIoTシステムで国内発電所の効率を高めており、タイ発電公社ともIoT導入で、運転の最適化を進めている」

 --新興国開拓のチャンスは

 「南欧ポルトガルやアフリカのアンゴラ。中東の地政学リスクも見ながらカタールやイランも重視している。アルゼンチンはマクリ政権が安定し、食品や電力などで商機があるが、投資には課題もある」

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【プロフィル】国分文也

 こくぶ・ふみや 慶大経卒。1975年丸紅入社。執行役員エネルギー部門長、常務、専務、副社長などを経て、2013年4月から現職。東京都出身。