【視点】介護施設の事故防止 当事者意識を高める「方策」を (1/3ページ)

 □産経新聞編集委員・工藤均

 転倒、誤嚥(ごえん)、誤薬…。介護施設内の事故といえば虐待、暴力などが目立つが、実はこうした事案が圧倒的に多い。だが、報告は施設の判断次第で、自治体は実態を把握し切れていない。4月からは介護保険サービスを提供する事業所に支払う介護報酬が改定される。諸問題とリンクして考えるのが改定だ。超高齢社会は目の前。今回は無理でも、次回の改定に向け、抜本的な対策を検討してもいい時期にきている。

 今回の改定は、高齢者の自立支援に積極的に取り組む事業者を評価することなどが柱。「人生100年時代」へ向けた大方針に沿ったものだ。異論はないが、2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となる。厚生労働省によると、15年度中の介護サービスの受給者は約521万人。このうち、施設の受給者は約91万人(17.5%)だが、今後は確実に増える見込みだ。

 県内に285の施設(政令・中核市除く)がある神奈川県では、16年度に全国的にも多い3237件の報告があり、服薬介助を行う際に発生する「誤薬」が最多(1045件)。以下、骨折、打撲・ねんざ・脱臼、擦過傷・切り傷が続いた。14年に川崎市の有料老人ホームで起きた3人の転落事故死をきっかけに、「薬一つ落ちていても報告させている結果ではないか」(高齢福祉課)という。

「報告のルールやリスク対応、国が指導できていない」