新しいIPを創出 既存のIPを活性化 バンダイナムコやサンリオなどキャラクター事業手掛ける企業が“次”を狙って相次ぎ新施策

「仮面ライダー555」とのコラボ商品を見せるハローキティ(中央)。左は仮面ライダーファイズに変身する乾巧役の半田健人さん、右は仮面ライダーカイザになる草加雅人役の村上幸平さん
「仮面ライダー555」とのコラボ商品を見せるハローキティ(中央)。左は仮面ライダーファイズに変身する乾巧役の半田健人さん、右は仮面ライダーカイザになる草加雅人役の村上幸平さん【拡大】

  • バンダイナムコグループの新規IP創出を担うサンライズの宮河恭夫社長
  • 大泉智行さんが生み出した「チャックま」
  • Netflixで世界デビューする「アグレッシブ烈子」

 ガンダムやハローキティに続くキャラクターを見つけ出せ。そんな動きを、キャラクター関連事業を手掛ける企業が見せている。バンダイナムコグループでは玩具やゲーム、映像音楽といった事業分野別のユニットに、ガンダムシリーズのアニメーションを制作しているサンライズ(東京都杉並区)を主幹会社とした「IPクリエイションユニット」を新たに加え、新規IP(知的財産)の創出に取り組ませる。サンリオ(東京都品川区)も「アグレッシブ烈子」のアニメをNetflixから世界に配信し、ハローキティと「仮面ライダー555」のコラボレーションなども実施。競争の激しいキャラ市場で印象を高めようと懸命だ。

 「新規IP創出にドライブをかける。体制を整備し投資を行い外部との協業を積極的に行う」。2月9日に東京・秋葉原で開かれたバンダイナムコグループの中期計画発表会で、バンダイナムコホールディングス(東京都港区)の田口三昭社長はこう話し、新しいIP作りにグループを挙げて取り組んでいく考えを表明した。

 2018年3月期の関連商品の売上高を675億円と見込んでいるガンダムや、ゲームのヒットもあって同じく960億円の売上を見込んでいるドラゴンボールをはじめ、仮面ライダー、プリキュアといった強力なIPを手掛けているバンダイナムコグループ。最近でも「ラブライブ!」「ガールズ&パンツァー」「アイドリッシュセブン」といったタイトルをヒットさせている。

 それでも、10年後を考え「新しいIPを私たちが作って海外展開しなければビジネスモデルの継続性を担保できない」(田口社長)ことから、新規IPの創出に力を注ぐことになった。体制面では、アニメ制作大手のサンライズを主幹会社にしたIPクリエイションユニットで、自社だけでなく他のアニメ制作会社との連携も行いながらIP創出に取り組んでいく。

 アニメ「機動戦士ガンダムUC」の制作などに携わって来たサンライズの宮河恭夫社長は、「オリジナルを作っていく上で重要なのは優秀なクリエイターとどう向き合うか」と話し、ヒットする作品を送り出すためにクリエイターを重視する考えを表明した。「打席に立たなければ点は取れない。オリジナルをたくさん作り打席に立っていく」(宮河社長)。アニメだけにこだわらず、小説やイラストレーションといった分野からでもIPを生み出し、グループの総合力を使ってヒットへと持っていく。

 金も使う。17年3月期までの3年間で50億円だったIP創出・IP軸戦略支援のための投資を、18年度から20年度の3年間で5倍の250億円に拡大。100億円をオリジナルIP創出投資、100億円を外部IPとの取り組みや内部IP軸戦略支援などのIP戦略本部への投資、50億円を新規事業や新技術などのチャレンジ支援投資に注ぎ込む。

 アニメ「ガールズ&パンツァー」を制作しているアクタス(東京都杉並区)をグループ内に取り込み、テレビや映画でヒットした「TIGER & BUNNY」の再始動も発表し、若い世代に人気のIPをもう一段盛り上げようともしているバンダイナムコグループ。一連の施策から、19年に40周年を迎えるガンダムに迫る大きなIPを生み出せるかに関心が集まる。

 既存キャラクターのコラボレーション展開による活性化と、新規キャラクターの創出に取り組み始めているのが、ハローキティやマイメロディなどで知られるサンリオだ。2月に東京都内で開いた事業者向けの展示会で、「仮面ライダー555」とハローキティとのコラボや、お笑い芸人「流れ星」とリトルツインスターズとのコラボなどを発表した。

 テレビ放送から15周年となる「仮面ライダー555」とハローキティとのコラボでは、キティのファンと、仮面ライダーファイズや仮面ライダーカイザに変身するイケメン俳優たちのファンに多い女性だけでなく、仮面ライダーシリーズを見続けている男性ファンにも関心を持ってもらおうとしている。

 2015年の登場と、サンリオではまだ新しいキャラの「アグレッシブ烈子」では、世界展開の期待が膨らんでいる。会社では上司や先輩にいいように使われている内気なOLの烈子が、仕事帰りにカラオケに入ると怒り顔となってデスメタルをデスボイスで歌いうっぷんを晴らす。社会で働く女性の心情を表していると、日本だけでなく世界でも評判となり、英国のBBC、アメリカのニューヨーク・タイムズといった有力メディアで紹介された。

 こうした評判を受け、大手映像配信サービスのNetflixが「アグレッシブ烈子」の新作アニメーションを4月20日から全世界で配信。TBS系の「王様のブランチ」内で放送されていた1分のショートアニメからボリュームアップし、各話15分で全10話を英語、中国語(広東語)、スペイン語など8言語での吹き替えと、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語など23言語の字幕で提供する。世界のAggretsuko(アグレッシブ烈子の海外名)となる日も遠くなさそうだ。

 展示会では、サンリオの辻朋邦専務が「変化していくサンリオを見せる」と話し、「アグレッシブ烈子」やゲームアプリ発でアニメにもなった「SHOW BY ROCK!!」といった新しいキャラを大きく展開。自身がアニメキャラになって来場者をお出迎えする映像も流した。ハローキティやマイメロディといった伝統的なキャラクターを守る一方で、斬新なコラボ展開や新規IPの創出を通し、サンリオをグローバル企業へと向けて動かしていく。

 個人で生み出したキャラクターを企業などに向けてアピールする動きも。2月に東京ビッグサイトで開催された東京インターナショナル・ギフト・ショー春2018には、個人クリエイターがブースを構えて自作のキャラクターを提案するコーナーがあった。ここでイラストレーターの大泉智行氏は、2011年から展開しているチャックがついたクマのキャラクター「チャックま」を展示し、商材を探しに来ている来場者に採用を呼びかけていた。

 大泉さんは、クラウドファンディングサイトのキャンプファイヤーで、「チャックま」の着ぐるみを作り、地元となる神奈川県厚木市を中心に全国で出没させる企画も進めている。草の根から全国へ、そして世界へと至るか?