【現場の風】三菱電機 途上国の課題、現地で探り技術で貢献


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 □三菱電機デザイン研究所デザイナー・松山祥樹さん(31)

 --三菱電機の持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みである「スモールワールドプロジェクト」とは

 「途上国の低所得層の生活向上に三菱電機の製品や技術で貢献しようというプロジェクトだ。入社2年目に『デザインX』という社内公募に応募して採用された。現在はインドネシアの魚売りのために、『バイクの電源で動く小さな冷蔵庫』の研究開発を行っている」

 --現地の人々にどう貢献できるのか

 「インドネシアで魚売りはバイクで家々を回るが、バケツに入れただけの魚は炎天下ですぐに傷み、販売価格の低下や売れ残りで収入が不安定になる。一方、漁港から離れた村では傷んだ魚を食べることで食中毒が頻発していることも分かった。バイクに冷蔵庫を積めば、そうした課題を解決できると仮説を立てた」

 --どのように開発を進めているのか

 「NPO法人に協力してもらい、実際に現地に行って無電化地域の村や家庭、学校、診療所などを回り、日々の生活を観察・調査して課題に気付き、アイデアが生まれた。試作機を制作して実際に魚売りの方に使ってもらい、意見を聞いてデザインの改良を重ねたり、本当に収入が増えるのかなどを検証している」

 --苦労した点は

 「最初は現地の人々に毎日家計簿を付けてもらったり、正直な意見を聞くのが大変だった。反応や効果を見定めるためには信頼関係をつくることが大切だ」

 --製品化、事業化に向けた課題を

 「先進国のインテリアとしても受け入れられるようなデザインを考案している。生産台数が増えればコストも下がるからだ。ビジネスとして成立するには部品供給や修理体制なども必要だ。現地にきちんと届けるためにもいろんなことにがむしゃらにアプローチする」

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【プロフィル】松山祥樹

 まつやま・よしき 法政大デザイン工学研究科修了。2012年三菱電機入社。公共機器や家電製品などのデザインを経験し、現在は途上国の低所得層に向けたプロジェクトなどに取り組む。神奈川県出身。