立ち飲み屋で「上京」果たす 青森の水産加工品メーカー 奇抜な戦略の裏で緻密な計算 (1/4ページ)

 青森にある水産加工品メーカー、ヤマモト食品。1935年創業の老舗だ。数の子と昆布がたっぷりと入った「ねぶた漬」は、ご飯にもお酒にもよく合う看板商品で、「青森では知らない人はいないのでは?」と思われるほど有名な商品だ。

 もちろんねぶた漬は、東京でもアンテナショップには必ずあり、大手スーパーマーケットでも取り扱っていることが多い。また、インターネットや電話で全国どこからでも購入できる。

 しかし不思議なことに、この水産加工品メーカーがなぜか2017年4月、小売店ではなく立ち飲み屋として東京に進出をした。店の名前は「ほんずなし」。「ほんずなし」とは青森の言葉では「愚か者」という意味。関西の「アホ」同様に親しみを込めて言われることが多い。場所は杉並区高円寺にある。本社のある青森市には同社が経営する小売店はあるが飲食店はない。

ランチ営業前の「ほんずなし」で取材に応じる山本氏。若さ溢れるリーダーは青森の本社と頻繁に行き来する

ランチ営業前の「ほんずなし」で取材に応じる山本氏。若さ溢れるリーダーは青森の本社と頻繁に行き来する

 なぜ水産加工品メーカーが突然東京に立ち飲み屋をオープンしたのだろうか? 今後の展開も含めて、同社代表の山本浩平氏に聞いてみよう。

▽原材料高騰と価格競争の板挟みに悩む加工品メーカー

 山本氏によると、水産業界の工程の流れを川の流れに例えると、加工品メーカーは中流の工程に位置するという。上流にあるのが漁師など原材料である魚や海藻といった海産物を獲っている生産者、下流にあるのが加工品を販売する小売店などだ。

まず「下流」から対策を