【論風】ソフトローを大事に思う心 若者はいかに生きるか (1/3ページ)

 ■國學院大學学長・赤井益久

 森友学園をめぐる文書改竄(かいざん)など財務省を揺るがす問題を民主主義の危機と指摘する声もあるが、それ以前の問題として政府、国家体制の危機といえる。国家や官僚制度はハードロー、つまり憲法や刑法、省令など法で運営する世界。法を守らないと警察に捕まる。一方、約束や決まり、習慣、自制心などソフトローは守らなくてもとがめられるだけだ。しかしソフトローの崩壊はハードローの崩壊につながるだけに怖い。文書改竄も官僚に自制心がなくなり、上司に言われるまま書き換えたのだろう。

 ロールモデル不在

 昔は「末は博士か大臣か」という言葉があった。「あの人のように生きたい」というロールモデルの一つに官僚も入っていたはずだが、官僚は制度の瓦解(がかい)でもはや若者を引きつける魅力はなくなった。「いかに生きるか」という不特定多数の若者の問いかけに、模範的な行動や考え方を国も社会も示すことができていない。悩ましいのは、頼りにすべき人が頼りにならないということで、見本が見当たらないのだ。

 國學院大學では、学生の「なりたい自分」をかなえるため教職課程や博物館学芸員養成課程を提供して自己実現をサポートしているほか、外部機関と連携し公認会計士や行政書士などの難関資格試験突破をサポートしてキャリアアップにつながるプログラムを今年度始めた。ある講座には応募が数十人の予想に対し400人が集まった。未来に不安を持っている現れといえる。

続きを読む