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千年先も考えて建てたんや 「最古の企業」の棟梁が語る、歴史と矜恃 (2/3ページ)

 だが、その歴史の長さにこそ、途方もない重みがある。例えば金剛組がこだわる「軒の勾配」。雨が多い日本では、急勾配にした方が早く雨だれが流れ落ち、耐久性が高くなる。しかし、金剛組は、あえて軒先を少し反り上がらせ、軒を深く取る。それが、五重塔などの神社仏閣の屋根に優雅な美しさを与えるからだ。丈夫さだけでなく、美しさにもこだわった建築法といえる。

 歴史の重みは、技法もさることながら、独自の儀式にも表れる。毎年1月11日に四天王寺金堂で執り行われる秘儀「手斧(ちょんな)始め式」。大工仕事を模した儀式で、選ばれた大工12人が平安貴族のような装束で参加する。一般には公開されていない。

 「選ばれたときは、そりゃ名誉なことと思いましたよ。初めての時は緊張してね。暗闇の中で行うのやけど、扉がバタンと閉まったら、そこから全く覚えてない」。厳かさに加え、伝統に直面した緊張感が伝わってくる木内棟梁の回想だ。

 小説「金剛の塔」には、五重塔が火災などで何度も失われ、その都度再建されたがゆえに、技術が継承されたとするくだりがある。「代々伝わる古文書もあるけど、実際にそれを作っていくからこそ、技術が伝わる部分もある」。技術の継承にとって実践が重要なことには、木内棟梁も同意する。

 四天王寺の建築を担ってきた金剛組だが、実は、8代目にあたる今の五重塔では施工から外れた。木造ではなく、コンクリート工法が採用されたからだ。

 その代わりというわけではないが、「なんとか請け負わせてもらった」という金堂には、金剛組の伝統技法と意地が盛り込まれている。

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