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サブスクビジネスの落とし穴

 映像ストリーミング配信の米ネットフリックスや、音楽ストリーミングサービスのスウェーデン・スポティファイなど、利用に対して代金を支払うサブスクリプション(以下サブスク)サービスが海外でも支持を集めている。米ズオラは今年3月、北米、欧州、アジアにおける何百ものサブスク企業の成長メトリクス(評価指標)を反映するサブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)の最新版をまとめ、「サブスクリプション・エコノミーは、この7年で300%以上成長し、IoT(モノのインターネット)分野で最も高い成長率を記録している」と発表した。(エアークローゼット社長兼CEO・天沼聰)

 日本でも今後さらにサブスクビジネスへの参入が増えるだろう。筆者は1月に発足した一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会の理事に就任した。自社のサービス強化のための情報交換だけでなく、積極的に発信と共有を行い、国内のサブスク化の支援に協力していく。消費者にとっては選択肢が増える。その一方で筆者は、事業者側の「サブスクの理解」が偏り、単に定額課金制というものだけを取り入れると大きく価値が変わってしまうと考えている。

 そもそもサブスク方式はビジネスモデルの一つであり、利用者はモノの利用権を買い、利用した期間に応じて料金を支払う。「利用」という概念が中心であり、「購買」とは考え方が異なる。それをモノの販売の延長線上で考えると「課金形態の変更」となり、本質的なサブスク化とは全く異質のものになってしまう。

 エアークローゼットでは、「顧客とのコミュニケーション」と「継続的なサービス改善」の両輪がサブスク化のポイントと考えている。事業者から見て、プロダクトの販売モデルはモノを「売る」までがゴールなのに対して、サブスクモデルは「売ってから」がスタートのため、“継続性”が重要だ。

 こうした概念の違いから考えると、見えてくる大きな課題がある。もし販売モデルを中心に行ってきた事業者の場合、サブスク化を行うには組織全体の「根底からの考え方の変容」が必要になるということだ。これには大きなコストがかかるため、海外でも多くの事業者がサブスク事業者との協業により、スピード感をもってサービスを拡大する事例が増えている。

 筆者にも協業の相談が多く寄せられている。多くの事業者との協業により、各社のサービスを拡大するとともに自社の基盤を強くするウィンウィンの取り組みを増やしていきたい。

【プロフィル】天沼聰

 あまぬま・さとし 英ロンドン大学コンピューター情報システム学科卒。2003年アビームコンサルティングに入社し、IT・戦略コンサルタント。11年楽天に移り、UI/UXに特化したウェブのグローバルマネージャー。14年7月、ライフスタイルを豊かにしてワクワクが当たり前になる世界を目指してエアークローゼットを創業し現職。40歳。千葉県出身。

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