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はやぶさ2、帰還の鍵はイオンエンジン 「宇宙は甘くない」開発者が語る

 小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還で鍵を握るのは、機体の加速に使う心臓部のイオンエンジンだ。初代はやぶさでは4基全てが故障し、一時は帰還が絶望視された苦い経験がある。対策を入念に重ねてきたが、開発担当者は「宇宙は甘くない」と気を引き締めている。

 イオンエンジンは電気の力で進む燃費に優れたエンジンで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が独自の方式で開発した。はやぶさ2で開発を担当した細田聡史さん(46)は「20日から来月2日まで行う試運転で一通りの性能を確認し、まずは安心材料を積みたい」と話す。

 細田さんの頭をよぎるのが、初代はやぶさが復路で見舞われた大きな試練だ。平成21年11月、既に故障していた2基に加えて残りの2基も故障。絶体絶命ともいわれたが、先輩が仕込んでいた回路設計の工夫が奏功し、機能する部分を組み合わせて作動させることで、何とか切り抜けた。

 はやぶさ2では細田さんが当初から開発を担当。運転で生じる高温に十分耐えるように構造を改良したほか、推力も向上させ、往路は32億キロの長旅を無事に乗り切った。

 「初代では先輩が開発したので、まだプレッシャーが肩に載っていなかった。今回は自分が開発したことで怖さが分かり、ずしりと来ている。帰りは大丈夫かと問われて『自信がある』と答えてはいるが、絶対はない」と胸の内を明かす。

 緊張が高まる中で、明るい展望も忘れない。「初代とあわせ、イオンエンジンで天体と地球の間を2往復できたら前人未到のこと。大きな自信になる」。

 イオンエンジンは運転の状況を管制室で刻一刻と見守る必要があり、目が離せない。「赤ちゃんを育てているようだ。将来は目をかけなくても着実に目標の天体に行けるように、今後の研究で早く一人前に育てたい」と語った。

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