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コメのアイスで棚田保全支援 神奈川・葉山町の夫婦、売り上げ一部を産地還元

 各地の棚田で収穫されたコメを使ったアイスクリームを販売し、売り上げの一部を産地に還元する取り組みを神奈川県葉山町の夫妻が続けている。過疎高齢化で棚田の荒廃が進む中「アイスを味わいながら気軽に応援してほしい」と願い、産地を拡大していく計画だ。

 山口冴希さん(34)と夫(34)は2015年、風光明媚(めいび)な土地柄に引かれ、3人の子供を連れて東京から移住。友人に誘われ棚田のコメ作りを手伝うようになり、今では友人らと16枚の棚田を管理している。

 コメ作りを通じ、棚田は美しい風景だけでなく、治水や生態系維持のためにも大切と認識。ただ、大型機械が入れないため、手間の割に収穫量が少なく、各地で担い手が不足している現実を知る。

 棚田米の活用を模索し、たどり着いたのがコメが少なくても大量生産できるアイス。コメを原料にした甘酒にココナツミルクや豆乳を加え、素朴な味わいに。「葉山アイス」として18年春に町内の飲食店などで販売を開始、町のふるさと納税の返礼品にも選ばれた。

 各地の棚田農家と交流するようになり、19年から長野県千曲市、高知県嶺北地域の棚田米アイスも生産。コメを葉山に送ってもらい、完成後、地元で販売している。

 アイスはいずれも1個350円(税抜き)。1個当たり10円が棚田保全に取り組む地元のNPOなどに入る仕組みで、活動資金に充てられる。冴希さんは「コメを作る人に思いをはせながら食べてもらえればうれしい」と話した。

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【用語解説】棚田

 山の斜面、谷間の傾斜地に階段状につくられた水田。雨をためる小さなダム、地滑り防止、生態系維持といった機能もある。耕作放棄が進んでいるとされる。保全を目指し、都市住民らが会費を払って農作業に参加、コメを受け取る棚田オーナー制度が各地で実施されている。2019年には議員立法で棚田地域振興法が成立。棚田を「貴重な国民的財産」と位置付け、都道府県が振興計画を作る仕組みを設けた。

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