経済インサイド

やっぱり変だよ医療界 京大とNTTの新事業で見えた“非常識” (1/2ページ)

 京都大学とNTTが2月3日、医療機関が持つ電子カルテ情報を共有・解析する新会社を設立した。患者の治療データなどを集め、治療効果の分析や新薬開発につなげるというもので、関係者は「画期的なことだ」と意気込む。意義のあることには違いないが、多くの民間企業がこれまで蓄積したデータを活用し、新たな価値を生むという取り組みを進めている中、逆に医療業界の“遅れ”を際立たせる結果となった。

 新会社は「新医療リアルワールドデータ研究機構」。同社によると電子カルテの情報を共有・解析する取り組みは日本初だという。京大などは平成28年以降、同大を含めた7大学の医療機関は電子カルテ情報を統合しており、事業化のめどが立ったことから、新会社を設立して参加医療機関を拡大し、2年以内に100医療機関との連携を目指す。

 これまで各病院にとどまっていた電子カルテ情報を集めることで、精度の高い医療が提供できるようになるほか、新薬の開発などにも活用が期待されるという。いわば患者情報のビッグデータ化で、有意義な取り組みであることは違いないが、「まだやってなかったの?」というのが率直な感想だ。

 ビッグデータの活用は、いまや民間企業では常識。そもそも「ビッグデータ」という言葉が世間に広がり、流行語大賞にノミネートされたのは25年で、7年も前の話だ。「今でしょ!」や「お・も・て・な・し」、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」が流行語大賞を取った年と考えると、医療界がどれだけ遅れているかがよくわかる。

 多くの患者にとっても、自らの治療で得られた知見は、その病院にとどめておくのでなく、有効に活用してもらいたいというのが本音だろう。

 これまで電子カルテが各病院にとどまっていたことについて、記者会見した京都大の阿曽沼慎司理事は「電子カルテの会社が異なり、違いを超えてまとめることが難しかった」と説明。同大の武藤学教授も「そもそも、統合しようという発想がなかった」と語る。

 ただ、ある関係者は「医者の反発も背景にはある」と明かす。電子カルテの情報が共有されれば、どういった治療を行ったかも明らかになる。「それを知られたくない医者も多い」からだ。

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