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コロナで減収の航空にコスト増の新たな圧力 CO2排出枠の購入義務

 新型コロナウイルスの感染拡大により航空券の売り上げが激減する中、国際民間航空機関(ICAO)は航空関連の二酸化炭素(CO2)排出量取引市場引き締めを狙いに、排出枠の供給を減らす。

 ICAOは3月13日、「国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム」(CORSIA)に沿って、排出枠を2016年1月1日から5年の間に開始した排出量削減プロジェクトに限定すると発表した。航空会社は排出した温暖化ガスの増加分を排出枠の購入で相殺する義務が2021年から発生する。

 来年から購入義務

 今回のICAOの決定は、航空会社にとり排出枠の購入コスト増につながる恐れがある。

 国際航空便は15年に採択された地球温暖化対策「パリ協定」の国別目標(NDC)に含まれない。ICAOはその対応指針を定め、植林や環境負荷を軽減する技術への投資によって排出したCO2を相殺するよう求めている。

 CORSIAが適格と認める6つの排出枠発行制度のうち、国連クリーン開発メカニズム(CDM)が発行する排出枠「認証排出削減量(CER)」の価格は需要不足で暴落。ICAOの今回の決定は、16年以前発行の排出枠が多く取引される現行市場では相場の下支えにならない。

 認証制度として世界最大のカーボンオフセット任意基準(VCS)の管理団体、ベラのデイビッド・アントニオーリ最高経営責任者(CEO)は「排出枠の限定で供給が大幅に減少する。ベラの登録リストにあるプロジェクトの約90%はICAOの要求基準から外れ、基準を満たすには新規プロジェクトへの投資が必要になる」と語る。

 生態系に関する情報を発信するエコシステム・マーケットプレイスの研究者は、ICAOの発表に先立つ報告書で、「排出枠が限定されれば排出枠価格は上昇する可能性もある。だが新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で需要は減少しており、供給量としては十分だろう。国際航空運送協会(IATA)の最新の見通しでは排出枠は現在もこの先取引開始されるものも、ともに供給量は需要の2~4倍になる」と指摘した。

 ただ、航空産業は調整期間が終了するまでCO2排出量を相殺する必要はなく、それまで排出枠供給量の増加が期待できる。

 コロナの行方焦点

 ロンドン拠点の排出権取引会社のレッドショウ・アドバイザーズの創始者ルイス・レッドショウ氏は「今後数週間は市場に活発な動きがみられるかもしれないが、1回目の調整で航空各社が実際に埋め合わせるCO2排出量を知ることができる24年までは本格的な購入はないだろう」と指摘する。

 航空各社が来年中に経営を通常に戻せれば、CORSIAによる影響は、航空会社に限定される見通しだ。だが、新型コロナによる危機状態が継続する場合、燃料需要は減少し、購入が必要な排出枠も減少するなど影響がさらに広がりそうだ。(ブルームバーグ Mathew Carr)

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