高論卓説

苦境に陥る孫正義氏 10兆円もの資金を投資するSVFが“最悪の状況” (1/2ページ)

 有望ベンチャー育てる“メディチ家”

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が苦境に陥っている。10兆円もの資金を世界のAI(人工知能)企業群などに投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が最悪の状況に陥っているためだ。「IPO(株式公開)が頓挫したウィーワークなどSVFの投資事業は1兆円を超す大幅赤字で、SBGの連結決算の足を引っ張っている。さらに新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)による世界的な株式市場の暴落から、SVFの損益は大幅に悪化している」(大手証券幹部)というのだ。

 3月27日には、累計19億ドル(約2000億円)を投じ、持ち分法適用会社としていた衛星通信を手掛けるスタートアップ、ワンウェブが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請、経営破綻した。SVFの投資企業は88社(19年9月末)で、時価総額は27.9兆円(11月末)ほどあった。しかし、その多くはベンチャー企業で、高い成長力をてこにIPOを目指していたものの、新型コロナウイルス騒動による世界的な市場の混乱で上場は見通せず、株価も急落し、先行きが危ぶまれている。

 さらに、「配車サービス『Uber(ウーバー・テクノロジーズ)』『DiDi(ディディ)』『Grab(グラブ)』など、同一業種で食い合う関係にある企業にも重複投資している。投資効率の悪さが際立っている」(市場関係者)ことも気掛かりだ。「当初、孫氏はSVFの10兆円を5年程度かけて投資する計画であったが、それを2年強で使い果たしてしまった。拙速で無理をした投資が、これら重複投資やウィーワークなど不良企業への投資につながった」(同)とされる。孫氏の投資事業は逆回転し始めている。

 また、SVFは投資資産10兆円のうち、サウジアラビアの政府系ファンドなど外部投資家が拠出する4兆円について毎年、元本の7%を優先的に固定配当することを約束している。その原資確保の圧力もあり、3月23日には1年間をかけて4.5兆円の保有資産を売却し、調達した資金のうち最大2兆円を自社株買いか、負債削減に充てると発表した。アクティビスト(物言う株主)であるエリオット・マネジメントがSBG株を取得し、自社株買いなどの圧力をかけていることも影を落としている。

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