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深手の航空、復活なお手探り 遠い需要回復 超格安運賃も現実味

 航空業界にとって、2020年は10年間続いた黒字基調が突然止まり、航空機メーカーや空港、リース会社などに大きな穴を開けるなど悪夢の一年となったが、今後の道のりも平坦(へいたん)ではない。航空需要の回復は新型コロナウイルスワクチンの普及や航空会社の資金繰り、政府の政策、新型コロナ感染状況などに左右される。

 定額無制限が人気

 社会全体に十分なワクチンが行き渡り、感染が抑制されるまで航空需要の大幅な回復は見込めない。ワクチンが普及しても、旅客を取り戻すには運賃設定についての努力が必要かもしれない。アイルランドの格安航空ライアンエアーのオリアリー最高経営責任者(CEO)は、欧州では最低9.99ユーロ(約1250円)の運賃も現れるだろうとみている。同社は7日、3月末までの便数削減を発表し、業界の見通しがなお不透明であることを浮き彫りにした。

 このほかの旅客呼び込み策としては、ホテル宿泊の無料化、1回分の運賃で2回分のチケットが購入できる特典、旅行保険の無償提供などがある。中国東方航空などが打ち出した定額で無制限利用が可能な「トラベル・パス」は人気で、中国では来月の旧正月の休暇向けにインターネット旅行会社が激安ツアーを提供している。

 資金繰りも大きな課題だ。昨年の航空会社の資金調達額は過去最高に上ったが、今年はさらに増える見通しだ。航空会社がバランスシートの健全化に努める中で、株式売却や債務の株式化が一層重要になる。

 米格付け会社ムーディーズによると、各国・地域政府は昨年、航空会社に計2200億ドル(約22兆8100億円)の支援を提供したが、今年も関与を継続しそうだ。エールフランスKLMの筆頭株主であるフランス政府とオランダ政府は、これまでに融資した104億ユーロの一部をハイブリッド社債に転換する一方で、多額の追加注入を協議している。裁判所の監督下で再建を進める格安航空のノルウェー・エアシャトルは新たな投資呼び込みが頼りで、タイ国際航空やマレーシアのエアアジアXも経営再建を探る。

 路線再編は不可避

 航空路線の再編も避けて通れない。航空需要がピークにあった19年には、主要航空会社は競うように中小規模の都市に就航した。それが今では、損失を抑えるため不採算の新路線を停止しつつある。使用する機体の小型化や便数削減などにより、観光に依存する一部の地方は経済的に打撃を受けている。路線縮小措置の一部は無期限で継続される可能性があると、航空予約の専門会社OAGのチーフアナリスト、ジョン・グラント氏は述べた。

 開発段階にあった比較的長距離の路線は特に影響を受けやすい。ブリティッシュ・エアウェイズは3月下旬から北米、中東、南アフリカ、アジアの13の長距離路線を廃止する。キャセイパシフィック航空は損失の拡大に伴い、7路線を打ち切る。

 新型コロナ対策の強化も必要だ。米中枢同時テロ事件後にセキュリティー検査の長い行列や液体の持ち込み制限が定着したように、新型コロナ後もマスク着用や社会的距離の維持、乗客の記録アプリの使用などは続く公算が大きい。航空会社向けに助言を提供するJLSコンサルティングのジョン・ストリックランド氏は「5年後や10年後に振り返ってみると、多くの変化のきっかけになっているだろう」と指摘。乗客は現在の高い衛生基準を維持するよう求める可能性が高く、航空会社の利益に影響を及ぼしそうだ。出発前のコロナ検査は空港の風景の一部になりつつある。(ブルームバーグ Christopher Jasper、Charlotte Ryan)

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