「風刺ネタ」を避ける日本の芸人 だからといって「オワコン」とは言えない理由 (1/5ページ)

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  • チャド・マレーン『世にも奇妙なニッポンのお笑い』(NHK出版新書)

 日本のお笑い芸人は、社会風刺や時事ネタをあまりやらない。これに対して「欧米ではコメディアンも権力者に批評の目を向けている」などと、日本のお笑いを批判する人がいる。その評価は妥当なのだろうか。オーストラリア出身の現役漫才師チャド・マレーンさんは、「欧米のお笑いで政治や宗教、人種がネタになるのは、それが手っ取り早くウケるというだけ」と指摘する--。

 ※本稿は、チャド・マレーン『世にも奇妙なニッポンのお笑い』(NHK出版新書)の第3話「ところ変われば笑いも変わる」を再構成したものです。

 日本ならではのあるあるネタ

 サラリーマンやおばちゃんなどよくいる人物だったり、日常生活のよくある場面だったり、「なんかいそう」な人や「なんかありそう」なことをいじってお客さんの共感を呼び、笑いをとる。こうした手法は、これまでも漫談や漫才の中でさんざん使われてきました。それが、レギュラーの「あるある探検隊」をはじめ、「あるある」だけにフォーカスしたネタをつくる人たちが現れ、いまや世間的にも一ジャンルとして認められるようになっています。

 なぜ、あるあるネタが日本的なのか。それは、海外の人にあるあるネタを説明しようとしたら、まずはその概念から説明しないといけないほど、通じないものだからです。

 あるあるネタは、見ている人の間にある程度共通した意識があってこそ成り立つもの。でも欧米の国々では人種や階層が多様で、共通意識を持つということ自体がそもそも難しい。だから、海外であるあるネタをやったとしても「いやこういうのもあるんじゃないか」「こういうのもあるだろう」となってしまって、「あるある!」とはならないのです。

欧米の笑いは「ツッコミ」不在