JR東労組のスト検討 対立路線回帰?強硬姿勢で組織防衛か


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  • JR東日本の深沢祐二副社長

 JR東日本の最大労働組合がストライキ権を行使する可能性が浮上してきた。最大労組によるストは列車の運行に支障が出る恐れも出てくる。旧国鉄時代に当時の労組がストを繰り返した歴史もあり、組合が“伝家の宝刀”に手をかけたことで労使関係は対立路線へ回帰する可能性がある。

 JR東労組の主な要求は組合員の基本給を一律で引き上げる「一律定額ベア」を将来にわたり続けることだが、会社側は「柔軟な対応が困難になる」と難色を示す。会社側には「未来永劫(えいごう)の約束は無理難題」との認識もあるようだ。

 ある別の組合幹部は「なぜ今、ストなのか」と困惑する。全国的に組合活動は弱体化しており、指導者の高齢化が進む一方、意識の変化で若い世代は消極的とされる。平成22年には、JR東労組では強力な影響力を持っていた松崎明元委員長が死去している。

 JRの労組問題に詳しいノンフィクションライターの西岡研介さんは「会社側は対応を見直しており、労使関係は転換期にある。強硬な姿勢を貫くことで組織防衛を図るのが本当の狙いではないか」と指摘する。国鉄末期には、経営陣が巨額の赤字から脱するために人員整理など合理化を進め、反発した労組がストや「順法闘争」と呼ばれるサボタージュを乱発。最大労組の「国鉄労働組合(国労)」は組合員二十数万人を誇り、全国の労働運動を牽引(けんいん)した。分割民営化後、各最大労組は基本的に協調路線を取ってきた。

 JR東の少数組合「ジェイアール・イーストユニオン」の秋山順一中央執行副委員長は、「思い通りにならないからストをするのであれば、これまでの安定経営を支えてもらった利用客への裏切りだ」と批判する。