乱用で大きな経済負担 オピオイド系鎮痛剤、製薬会社の試行錯誤 (1/3ページ)

 製薬業界にとって、より良い鎮痛剤の開発は困難な課題だ。製薬会社は薬物依存や過剰摂取が起こりにくい新しい薬剤を開発してきたが、中毒性が強いオピオイド系鎮痛剤に代わる、有効で採算の合う薬はなかなか登場しない。

 経済学者や業界の専門家は、その原因は「動機の分断」にあるとみる。投資家からの圧力に加え、保険会社や国の保険制度の支払い条件は、製薬会社にオピオイドの蔓延(まんえん)が引き起こす問題に対処するよう促しながらも、その根源に到達する可能性のある技術革新を妨げる仕組みになっている。

 長年もうかる事業

 痛みに対する新たな治療薬は概して、高額で扱いにくく、対象となる患者集団も極めて小規模であることが多い。

 その点、鎮痛剤の販売は長年、製薬会社や卸売業者、薬局などにとってもうかる事業だった。オピオイド系鎮痛剤は今でも、医師や慢性痛に苦しむ1億2500万人の米国民の間で人気の薬剤だ。調査会社インフォーマ・ファーマ・インテリジェンスは、同薬剤の売り上げが2020年には184億ドル(約1兆9800億円)に達し、15年比で25%増えると予測する。

 オピオイド系鎮痛剤の大半は、何十年も前から販売されてきた安価なジェネリック(後発)医薬品で、新たな鎮痛剤開発の努力や費用は正当化が難しい。

 ハーバード大学医学大学院の精神生物学教授で、トランプ米大統領の組織するオピオイド委員会のメンバーでもあるバーサ・マドラス氏は「特許が切れた医薬品は、開発会社以外の製薬会社も生産することができる。新たなオピオイド系鎮痛剤の開発と承認獲得は、はるかに高くつく仕事になる」と説明する。

各企業の試行錯誤