【IT風土記】秋田発 ドローン、自動運転…「近未来技術」に懸ける仙北市の未来 (2/3ページ)

 市内に広がる国有林野の広いエリアでドローンを飛ばし、実用化に向けた実験に取り組んでもらうというもので、16年4月には、情報通信研究機構などがドローンを使って学校図書を搬送する実証実験を実施。3冊の本を積み、市内の小学校から中学校までの1.2キロを飛行した。また、内閣府の国家戦略特区プロジェクト「無人運転バス」の走行実証実験にも名乗りを上げ、11月、田沢湖畔の公道で実際に無人運転バスを走行。実際の公道を無人運転バスが走るのは国内初の試みだ。

2016年11月、田沢湖畔の公道での実証実験に使われた無人運転車両

2016年11月、田沢湖畔の公道での実証実験に使われた無人運転車両

 地方こそ利活用の幅が広い近未来技術

 さらに今年3月には経済産業省などが選定する「地方版IoT推進ラボ」の認定も受け、近未来技術を活用した新たなビジネスの掘り起こしや人材の発掘にも取り組む。緑に囲まれ、牧歌的な風景が広がる仙北市がなぜ近未来技術にこだわるのか。門脇市長はこう語る。

 「ドローンは都会よりも地方の方が利活用の幅が広い。無人走行運転もそう。人口が減れば、税収も減り、予算の縮小してしまう。でも、行政サービスは劣化させるわけにはいきません。人に頼れない部分は『技術』に頼らざるを得ません」

 市の人口は現在約2万7000人。将来推計では2040年に1万6000人まで減少。高齢化も進行し、65歳以上の老年人口の割合は40年には46%まで拡大する見通しだ。「近未来技術は市が抱える課題解決につなげたい。今のうちから、技術を活用できる下地を作っておくことを狙っています」と小田野直光地方創生・総合戦略統括監は語る。

 高齢化と人口減が進めば、社会的な共同生活の維持が難しい限界集落が増える。働き手が減り、物品の輸送手段を確保できなくなることも懸念される。だが、ドローンがあれば、限界集落などへの物品の輸送も容易になり、無人運転バスが実用化されれば、人件費をかけず低コストで公共交通網を確保できる。人口減が進む地方にとって近未来技術は欠かせないインフラなのだ。

新たな産業、人材の呼び水に