【書評】『軍事のリアル』冨澤暉著 専守防衛は成り立たない 「リベラルなハト派」が現実的視点で斬る (1/2ページ)

『軍事のリアル』冨澤暉著(新潮新書・760円+税)
『軍事のリアル』冨澤暉著(新潮新書・760円+税)【拡大】

 著者は防大卒の元陸上自衛官。北部方面総監として部下をカンボジアPKOに派遣。陸自トップの幕僚長として地下鉄サリン事件などに対処した。現在、旧陸軍将校や陸自幹部OBらの親睦団体である偕行社の理事長を務める。ちなみに岳父は旧陸軍で諜報工作活動を担った「F機関」の長(藤原岩市)…等々、武骨な軍人像をイメージさせるが、文化人との縁も深い。

 なんと実父は芥川賞作家(冨澤有為男)。高校の同級生2人(庄司薫、古井由吉)も芥川賞作家となり、もう1人(塩野七生)はベストセラー作家に。下宿先の住職も後に直木賞作家(寺内大吉)となった。

 著者自身も退官後、大学で「安全保障」や「危機管理」を講義した学者。前著『逆説の軍事論』は日本防衛学会の「猪木正道賞特別賞」を受けた。現場を知り、教養も抜群という、まさに文武両道に通じた人物なのである。

 著者は護憲派メディアに登場する機会が多いこともあって、保守陣営から「リベラルなハト派」といったレッテルも貼られてきた。なるほど本書でも著名な保守派論客を「現代日本語の意味をよくご存じない」と批判する。だが、それだけではない。