「マイパブリック」に包まれる安心感 グランドレベルで何気ないリアルな交流を (3/3ページ)

『マイパブリックとグランドレベル』
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 この喫茶ランドリーは、近隣の人たちがまったく気兼ねなく集まってくることを想定した場所だ。洗濯をしながらアイロンをかけ、1人だとしんどいなと思う時間を気楽にお喋りしながら過ごせる。

 ここに洗濯機からミシンに至るまで機能的なものがあるが、その機能を目当てに人が来ることが目的ではない。例えば、ここの大きなテーブルを使って数人がパンを練り、それを歩いてすぐの自分の台所で焼く。こういうパターンが嬉しい。

 何かをするきっかけをもらえる場であれば結構だし、何かをしないといけないというプレッシャーさえからも解放されることを狙っている。

 店内の様子を街ゆく人が横目で眺めながら通り過ぎ、ある日、「今日、暇で時間を持て余しているから、なんかあそこに行けば時間つぶしになるかも」と思いつき、店内に初めて足を踏み入れる。そこで、話の合う近所の人と知りあったらラッキーとしか言いようがない。

 この場を「屋内型ベンチ」と名付けてもいい。

 多くは期待しない。何もかしこまったカタチを求めない。でも、なんとなく息をつげる空間が近くにある安心感がある。十分過ぎるほど十分だ。

 気楽に日常生活を送ることに肩の力が入り過ぎてはいけない。マイパブリックとは、そういう思想である。(安西洋之)

【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)

安西洋之(あんざい ひろゆき)上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。