アルツハイマー治療 鉄分にヒント (1/3ページ)

 認知症の蔓延(まんえん)を阻止するものとして最近、地球上で最も豊富な元素の一つが注目を集めている。それは鉄だ。

 鉄は脳のさまざまな機能において重要な役割を果たすが、過剰になると毒性を発揮する。豪メルボルンの研究グループは2年前、脳内の鉄分量から認知症の一つであるアルツハイマー病の発症時期を予測できることを発見した。現在同グループは「デフェリプロン」と呼ばれる薬剤を用いて過剰な鉄分を取り除き、アルツハイマー病の進行を食い止める方法を見つけようとしている。

 3秒に1人が発症

 近年、認知症は3秒に1人が発症するとされており、2018年の世界経済に1兆ドル(約107兆円)の負担を強いると予測される。世界初となる同グループの研究は、同病の最大の原因に対する治療法を見つけるための新たな取り組みだ。研究は初期アルツハイマー病患者171人を対象に、23年前に開発された薬剤を用いて過去1年にわたって行われた。

 アルツハイマー病の診断に使われる脳画像診断技術を開発したオースティン・ヘルスで、同研究の責任者を務める老人病専門医、マイケル・ウッドワード氏は「私たちは全員、勝算があるとみているが、それを証明する必要がある」と述べた。

 アルツハイマー病をめぐっては、これまで製薬会社が何十億ドルも投じて開発した100を超える治療薬が失敗に終わり、数えきれないほどの研究者の希望が打ち砕かれてきた。最近では17年に患者の脳に寄り集まる「ベータアミロイド」と呼ばれるタンパク質を標的とした薬剤開発が中止となり、失望を招いた。

「有望な結果を示した数少ない臨床試験」