父をみとり味わった悲しみ、喪失感…浄土宗僧侶、体験通じ悲嘆ケア 亡き人を忘れるのではなく「もう一度関係をつむぐ」 (1/3ページ)

グリーフケアについて佛教大四条センターで講演する大河内大博さん=1月18日、京都市下京区(小野木康雄撮影)
グリーフケアについて佛教大四条センターで講演する大河内大博さん=1月18日、京都市下京区(小野木康雄撮影)【拡大】

 終末期のがん患者に寄り添い、グリーフ(悲嘆)ケアに取り組む浄土宗僧侶、大河内大博(おおこうち・だいはく)さん(39)=大阪市住吉区=が、父親をがんで亡くし、みとった「体験」を語り伝えている。自身の喪失体験を明かすことで、より実感を伴ってケアの大切さを伝えられると考えたからだ。「亡き人を忘れ去るのではなく、もう一度関係をつむぐこと」。生前、活動を応援してくれた父への思いを胸に、講演に臨んでいる。(小野木康雄)

「治療という選択はない」と告げられ

 大河内さんは願生寺(がんしょうじ)の住職を務める良廣(りょうこう)さんの跡取り息子として生まれ、9歳で得度。法政大在学中の平成13年、僧侶が常駐する長岡西病院(新潟県長岡市)で、終末期のがん患者に寄り添う活動を始めた。話を注意深く聴く「傾聴」によって、生死の苦悩を和らげる。そうしたケアを実行し、探究してきた。

 病院で活動する僧侶の先駆者として評価され、21年に浄土宗平和賞を受賞。勤務先が研究機関から医療法人に移った直後の昨年8月、良廣さんが病魔に侵された。膵臓(すいぞう)がん。「治療という選択はない」と告げられたほど、余命いくばくもなかった。

 告知後、良廣さんは泣いた。そして、亡き後に住職を継ぐことになる息子に向かって言った。「大学院をやめるな」

最期まで応援

 大河内さんは博士号の取得を目指して28年、大阪大大学院人間科学研究科に進学していた。当時、「まだ隠居できへんやないか」と喜んだ父は、最期まで息子の背中を押そうとした。