ローカリゼーションマップ

そこに多角的視点はあるか? 異文化を深く理解するということ 「量より質が肝心」 (1/3ページ)

安西洋之

 【安西洋之のローカリゼーションマップ】「大事なのは、量ではなく質だ」と気づいている人は少なくない。しかしながら、「かつてはバックパッカーで、世界何十か国をまわりました!」と自慢げに話す人はなかなか減らない。

 訪問した国の数で知識は増えるが、ある文化圏を深く理解するには至らない。その文脈で、バックパッカーとはせいぜいバックパッカーの生態に詳しい人、というのがぼくの少々意地の悪い見方である。

 この10数年、多く語られるようになった新しいタイプは「移動を頻繁にして、生活の本拠地であまり長く時間を過ごさない」人だが、その1つとして「多拠点生活者」がある。

 住所を複数もつ人だ。またはエアビーアンドビーなどを利用して、自分の棲み処を一定期間他人に貸し、離れた場所にある他人の家を借りるとのパターンもある。

 ぼく自身、日本とイタリアの両方に拠点があるので「2拠点生活者」であるが、「ライフスタイルとして」どうのこうのと語る気にはならない。自分のフィロソフィーを語るほどに、この複数拠点スタイルに思い入れがあるわけではなく、たまたま結果的にそうなっているに過ぎない。

 しかし、語らないもっと大きな理由は、じっくり「そこ」にいないと、「そこ」の文化メカニズムがよく分からないと痛切に感じているからだ。

 例えば、ぼくがイタリアの社会を自分なりに「掴んだ!」と思えたのは、子どもが小さい時の親同士のつきあいと、その子どもの祖父母たちと話すようになってからだ。

 「掴んだ!」のは、三世代に渡る「ある事象」に関する、見方の差が見えてからである。

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