【5時から作家塾】「地方の文化」を東京で、小倉発の文化「どぎどぎうどん」を食べる (2/3ページ)

 地元で有名になってることすら知らなかった

 東京都中央区日本橋室町、JR神田駅から徒歩5分ほどの裏通りにある「神田肉うどん」。店主の渡部真太郎さん(50)は北九州市小倉の出身だ。子供の頃から小倉のうどんを食べて育ってきた。40年前は今のようにご当地グルメなわけでもなく店がたくさんあるわけでもなかったという。

シンプルな看板。朝6時半から営業しているので、出勤前にさっと朝食として食べられる

シンプルな看板。朝6時半から営業しているので、出勤前にさっと朝食として食べられる

 「どぎどぎうどんという言葉さえなかったんじゃないかなぁ。俺も別にこの小倉の肉うどんが地元で流行ってるから『よし東京でやろう!』って意気込んで始めたわけじゃないし……。東京に住んで何十年もたってるし、このうどんが地元で有名になってることすら知らなかったんだよなぁ」(渡部さん)

 渡部さんによると、小倉でも白だしに柔らかい麺のいわゆる「福岡のうどん」のほうがメジャーな食べ物らしい。ではなぜこの小倉のうどんはこんなにファンがいるのだろうか?

 万人受けはしないが、ハマる人は「ど」ハマりする

 「万人ウケするうどんじゃないんだよなぁ。東京で博多うどんを出す店に何人か連れて行ったことがあるんだけど、皆『普通に美味い』と言いながら食べるんだ。けどその10人をうちの店に連れてくると、半分は『口に合わない』、もう半分は『めちゃくちゃ美味い!』という感想になるんだよね。」(渡部さん)

 そう、この小倉の肉うどんは決して誰からも好かれる無難なうどんではない。地元でも「ど」ハマりした人がわざわざ博多から通ってでも食べたりする、そんな好きな人が選択して食べる物なのだ。

 そして渡部さんも、「ど」ハマりした人間の一人だ。

「鮮明に覚えているんだ。ものすごく美味かったってことを」