ローカリゼーションマップ

コトに振れ過ぎモノを軽視 “流行りに浮かれた”日本のデザインに違和感 (2/3ページ)

安西洋之

 新谷さんは「欧州人のクラスメイトから、日本に留学したいとの相談をよく受けるのですが、この学校で学んでいることの延長で勉強できる日本の大学は、少なくとも提携校にはないよ、と説明せざるを得ないのですよね」と話す。

 プロダクトデザインやグラフィックデザインなど対象によって区切られたデザインを学べる学科はもちろんあるし、サービスデザインを学べる学科もある。しかし、これらを統合して教育する大学院が日本の提携校に見当たらない、というわけだ。

 「PSSDでは物理的なモノをつくることが基本にあって、そのうえでサービスが語られるのです。スマホのアプリですべて完結したサービスを構想しよう、という議論は生まれにくいです」と説明する。

 これは先週のコラムに書いた、同大でデザインマネジメント・イノベーション・リーダーシップを教えるロベルト・ベルガンティ教授が「欧州のデザインは建築を起点とするから人間とつながり、デザイン言語が米国のようにテクノロジーとビジネスと直接的につながらない」と話すことに通じる。

 授業やワークショップの運営で、いろいろと馴れない「イタリア流カオス」に戸惑うことも多いが、この半年間で学んだことには満足しているようだ。PSSDの入学には学部の出身を問わず、デザイン系はもとより人文・社会・自然科学系の学生も入ってくる。

 それでも新谷さんは異色だ。彼が「学部で古典文学を学んだ」と同級生に話すと、たいていの場合、日本の古典文学だと思い込む。古典ギリシャ文学であると説明すると驚かれる。

 そして、彼は教養の基礎を知っている人間として仲間から一目置かれる存在になる。グループワークの場で、新谷さんが提案するコンセプトに耳を傾けられやすい。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus