ローカリゼーションマップ

コトに振れ過ぎモノを軽視 “流行りに浮かれた”日本のデザインに違和感 (3/3ページ)

安西洋之

 現在25歳の新谷さんは、博士論文を書くことを20代の目標としている。デザインをネタにしながら、「考え方について考える」ことをイメージしている。しかも、人文科学だけ、経営学だけ、デザインだけという活動の場を新谷さんは望まない。

 ぼくが「将来はデザイン思想史をやりたいの?」と尋ねると、「どうでしょうね。近いような気もするけど、ぼくは研究だけでは満足しないと思います」と答える。

 こうした彼にとって、工科大学にあるPSSDの「統合度合」は居心地が悪くないはずだ。30代の人生が研究者か起業家かはまだ分からないが、既存の領域に嵌りたくない彼は、日本の外で活動することを継続する可能性も高い。

 「日本のデザイン教育を変えたいと決意するには年齢が若すぎます」と笑う。

 流行りに浮かれている暇はないだろう、という気がする。この場合でいえば、「モノからコトへのデザイン」に振り回されることだ。「モノとコトのデザイン」というメインストリームを極めていかないといけない。

 こういう会話を交わした翌朝、PSSDに加え経営工学とのダブルディグリーを取得できるコースへの試験に合格したとの知らせを受けた。古典ギリシャ文学を勉強し、人間を中心にしたデザインと経営学を学び、新しい領域を切りひらいていきたいとの新谷さんとの深い想いを、これからも支持していきたい。

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【プロフィール】安西洋之(あんざい・ひろゆき)

安西洋之(あんざい・ひろゆき)モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

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