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日常の“不出来”指摘された気分? 「生き延びる力」について考える (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 10代の頃から「日常生活」という言葉や概念にやたらと惹かれ、高校生のときから、雑誌『暮らしの手帖』を小遣いで定期購読していた。日常生活を考え方の拠点とすれば、何ごとにもしっかりと対処することができるとの想いがあったのだろう。今からみれば逆に地に足のついていない日常生活という世界への憧れだった。(安西洋之)

 実は、その後も「日常生活」という言葉が入っている記事は読むことが多い。今から10数年前、ベストセラー『「捨てる!」技術』の著者・辰巳渚さんの文章も、そうした守備範囲のなかで「発見」したはずだ。

 辰巳さんは昨年6月、バイクの事故で急逝されたが、彼女は亡くなる前にほぼ書き終えた本の原稿を残していた。それが『あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと-ひとり暮らしの智恵と技術』(文藝春秋)である。はじめにはご本人が書いているが、あとがきは昨年二十歳になった長男・加藤寅彦さんが記している。

 この本は家を出て自立する子どもを対象にしているが、実家から離れた大学に入った加藤寅彦さんは次のように書いている。

 “私がこの本を読んでいると、今まで教わってきてことを、もう一度、ひとり暮らしをするにあたって、母から仔細に教わり直しているような…そんな感覚に陥るのです。実際、自分ができていないポイントについて読んでいる時には、チクチクと指摘されているような気持ちになりました(笑)”

 とっくの昔に親元から遠く離れた場所で家族を構えて生活をしているぼくも、正直、辰巳さんにチクチクと指摘されているような気になった。

 “毎日のように使う革製品は、手入れしないとワンシーズンでダメになります。手入れができないなら、あなたはまだ革製品を身につけるほど大人になっていないのだと自覚して、これからは合成皮革やビニールなど手入れの必要のないものを買うようにしてください”

 あっ、あの靴、しばらく手入れしていない!言われちゃったなあ、大人じゃないって。

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