道路の至るところに、監視カメラが設置されている。幹線道路には、およそ50m未満の間隔でフラッシュライトが点滅している。それが監視カメラだ。あからさまに監視の目が光っている。中国の画像認識技術は進んでいるから、どれほど化粧をしても髪形を変えても個人が特定できてしまうというから、逃れる術はない。
日本円にして450万円
それでいて首を捻りたくなるのは、深夜であってもライトを点灯する習慣がないことだ。闇に紛れ、音もなく電動バイクが忍び寄ってくるのだから、身を守るのは自らの注意力だけというわけである。
そもそもガソリンバイクを見掛けないのは、一切の走行が禁止されているのではなく、ガソリンバイク専用ナンバープレートの取得に、日本円にして450万円前後の税負担が強いられるからだという。
「環境対策のEV化?」
「いや、ガソリンバイクの事故が多発したからです」
上海在住の友人がそう説明してくれた。政府が危ないと判断したら、徹底した指導や規則が施行されるのが、中国という国なのである。
共産党一党独裁の社会主義国家中国は、中央に権力が集中するから、意思決定が早い。次に僕が上海に行くのは2カ月後だ。その頃にはまた、何かが大きく変わっているかもしれない。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。