米、中国への制裁課税を見送り タイヤ安売りで

 【ワシントン=小雲規生】米国際貿易委員会(ITC)は22日、中国から輸入されるトラック・バス用のタイヤが不当に安く販売されて米国企業に被害を与えているとの商務省の決定を退けた。商務省が求めていた反ダンピング(不当廉売)関税などの制裁課税は見送られる。トランプ政権下で商務省の決定が否定されるのは初めてで、トランプ大統領が打ち出す中国などによる不当な輸出への強硬路線に冷や水がかけられた形だ。

 ITCの6人の委員のうち3人が商務省の決定に反対、2人が賛成し、1人は投票に参加しなかった。ITCは決定の発表文で「米国の産業は著しい被害を受けていない」とした。

 商務省は1月23日、中国製のトラック・バス用タイヤの価格がダンピングや中国政府による補助金により不当に安く設定されていると認定。9~22・57%の反ダンピング関税と、38・61~65・46%の相殺関税を設定するとの判断を示していた。

 鉄鋼やゴムを含む幅広い産業の従業員が参加する全米鉄鋼労働組合(USW)は声明で、「ITCは大きな間違いを犯した」と批判。「中国はタイヤ産業の生産能力を拡大し、米国でいかなる価格でも売ろうとしている」として、議会やトランプ政権に対応策をとるよう求めた。

 商務省によると、トラック・バス用のタイヤの中国からの輸入量は2014年に前年比34・2%増。15年も同5・8%増となっている。