仙台に石炭火力建設相次ぐ 住民反発、市は立地自粛指針を策定

仙台港で運転を開始した石炭火力発電所「仙台パワーステーション」=4日、仙台市宮城野区
仙台港で運転を開始した石炭火力発電所「仙台パワーステーション」=4日、仙台市宮城野区【拡大】

 東日本大震災の津波被害から復興した仙台港(仙台市宮城野区)周辺で、石炭火力発電所の新設や建設計画が相次ぎ、地元の反発が強まっている。一部住民は運転の差し止めを求めて提訴。仙台市も全国初の立地自粛を促す指針を策定し、規制に乗り出した。

 「被災地になぜ次々とこんなものが来るのか、憤りを感じる」。2017年12月の仙台地裁。仙台港で同10月に運転開始した石炭火力発電所「仙台パワーステーション(仙台PS)」をめぐり、周辺住民らが運転差し止めを求めた訴訟で、原告の男性が訴えた。

 仙台PSは、関西電力の子会社「関電エネルギーソリューション」などが出資。出力11万2000キロワット、年間約32万トンの石炭を使用する。

 原告側は「発電される電力は首都圏に売られ、被災地には環境負荷をもたらすだけだ」と主張。排出される有害物質による健康被害や、発電所近くにあり水鳥が生息する蒲生干潟への悪影響を懸念する。

 環境省によると、石炭火力発電所は17年10月時点で、全国21カ所で計24基の新設が計画されている。背景には東京電力福島第1原発事故後、原発の新増設が難しくなったことがある。加えて、電力小売り全面自由化により事業者間の競争が激化する中、低コストで安定的な電力供給が見込めることから全国的に建設計画が相次いだ。

 事業者は電力消費の多い首都圏での販売参入を見据え、東日本での発電所建設を模索する。仙台港は「港湾設備や送電線が整備済みで工業用水も豊富。インフラ条件が整っている」(関電エネルギーソリューション)といい、事業者にとって魅力的な立地場所だ。

 17年3月には、四国電力が石炭と木質バイオマスを燃やす「仙台高松発電所」(仮称)を仙台港の高松埠頭(ふとう)に建設し、21年度の運転開始を目指すと明らかにした。

 こうした状況に歯止めをかけようと、仙台市は17年12月に「石炭火力発電所の立地自粛を強く求める」と明記した指導方針を策定。それでも新設したい事業者には、正式な環境影響評価(アセスメント)の前に、環境負荷を予測・公表し住民説明会を開催することなどを求め、進出のハードルを上げた。

 「強制力はないが、歓迎しないという市のスタンスを知ってもらうことに大きな意味がある」と担当者。郡和子市長は「市の求めに応えていない企業ということになれば、経済活動にも大きく影響するはずだ」と事業者を牽制(けんせい)している。