増え続ける見捨てられる土地

所有者不明の土地が拡大している(ブルームバーグ)
所有者不明の土地が拡大している(ブルームバーグ)【拡大】

 人口減少が進む日本で、見捨てられるのは家や墓だけではない。土地も同じだ。所有者不明土地問題研究会によると、九州の土地面積を上回る約410万ヘクタールの土地が所有者不明となっている。昨年10月公表の将来推計では、2040年までに約720万ヘクタールと北海道本島に迫る面積まで拡大し、機会損失や税の滞納などを含めた経済的損失は約6兆円とした。

 早稲田大学大学院の山野目章夫教授は、土地がお金を生む資産ではなくなったとき、家族にとっては負担になり、義務ではない登記の更新が何世代にわたって行われない事例があるとした上で、過疎地域では土地を「処分しようとしてもなかなか不動産が地方の市場では回らない」と述べた。

 問題が表面化したきっかけは、11年に発生した東日本大震災の復興事業。山野目氏によると、被災者の安全を確保するために高台に住宅を整備する計画が、所有者不明地のために滞る例があったという。

 国交省の資料によると、河川改良事業を行う際、墓地として利用されていた共有地の登記更新が1958年から行われていなかったため土地収用が困難となったという。

 日本土地家屋調査士会連合会の柳澤尚幸専務理事は、所有者不明地が「虫食い的に存在していくと非常に土地として利用しづらい。地方においては進行することはあっても解消する方向にはなかなか行かない」と述べた。(ブルームバーグ Yoshiaki Nohara)