中印 チベット医学の無形文化遺産でも争い

 国境対立を抱える中国とインドが、ヒマラヤ山脈や周辺に伝わるチベット医学を、自国の文化として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録しようとせめぎ合っている。

 中国の環球時報やインド紙によると、中国は2017年3月ごろ、チベット医学の入浴法が「中国で発展した」として無形文化遺産の登録を申請。インドも対抗するように、アーユルベーダやインド仏教がチベット医学に影響を与えたとして申請した。

 チベット医学はヒマラヤやチベット高原に古来伝わる。中国軍の1950年のチベット侵攻や59年のダライ・ラマ14世亡命などで離散した難民が各地に伝え、近年、代替医療として欧米などで注目され始めた。

 「先祖代々のアムチ(チベット医学の医者)だ。60年前にはラサ(現・中国チベット自治区)で修行した」

 標高約4000メートルの、チベット文化圏に入るインド北部レー近郊の村。仏画を背に香が漂う診療所で、80代のアムチのコンチョク・チョザンさんが話した。手の脈や尿などから患者を診察し、ヒマラヤで採取した希少な薬草を自ら調合し処方。謝礼として穀物などを受け取る。

 登録審査に向け、両国のロビー活動が激しくなりそうだ。(レー 共同)