ベトナム南部各省で殺虫剤の市場管理「野放し」 人材や予算不足

南部ホーチミンで野菜を売る女性。ベトナム南部は農業も盛んだ(ブルームバーグ)
南部ホーチミンで野菜を売る女性。ベトナム南部は農業も盛んだ(ブルームバーグ)【拡大】

 ベトナムは、南部の各省で農薬分野、特に殺虫剤の市場管理体制に綻びが生じているもようだ。当局者によると、人員や予算の不足で流通製品の検査が十分に行われず、市場が「野放し状態」になっているという。国営ベトナム・ニューズなどが報じた。

 現在、各省には栽培・植物保護部門に2人の査察担当者が配置されている。この担当者が省内の殺虫剤の管理と査察に当たるが、市場には数千の製品が流通し、取り扱い業者も多数に上ることから、手の回らない状況が続いている。

 たとえばビントゥアン省では、殺虫剤をはじめとする農薬を扱う店舗や代理人が780に達している。しかし、栽培・植物保護部門の査察予算は年間1億ドン(約50万円)にすぎず、2人の査察官がカバーできる店舗・代理人は200~300程度だ。

 同省の査察担当者によると、査察の際に市場から製品サンプルを集めて検査を行うが、この検査費用が1サンプル当たり55万ドンを要する。同担当者は「予算が限られているので、査察は年に2回がやっと。1回の査察で集めるサンプルもせいぜい12~15製品がいいところだ」と嘆いた。

 また、農業の盛んなドンナイ省の栽培・植物保護部門によると、同省内には12行政区画に殺虫剤の製造工場が12、取り扱い企業が15、販売を行う店舗と代理人が400以上存在している。2人の査察担当官が年間に査察を実施できるのは、1行政区画当たりで10~20の店舗・代理人が限度だという。

 2017年1~10月に同部門が殺虫剤関連で発見した違反は95件、徴収した罰金は6600万ドンだった。現地の農業新聞は、違反内容が商標や営業許可関連に偏っており、偽造品や基準に満たない低品質製品の違反が少ないと指摘し、査察をくぐり抜けて相当量の偽造品や低品質製品が流通しているのではないかと疑念を呈した。

 ビントゥアン省の査察担当者は「偽造品は大手ブランドを扱う市場にまぎれていることが多いが、ラベルだけで見分けるのは難しい」と述べた。現状の予算と人員では、企業や警察などと適切な連携がない限り、発見はきわめて困難という見解だ。

 独化学工業大手バイエルの現地法人幹部は、各省の栽培・植物保護部門が店舗と代理人の査察に比重を置きすぎているとし、問題の根幹である製造分野にメスを入れるべきだと提言した。(シンガポール支局)