【専欄】楽観できない米中関係 「新冷戦」時代の到来か (1/2ページ)

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 米副大統領、ペンスの中国政策に関する演説(10月4日)が米中関係、さらには国際社会に大きな波紋を投げかけている。米中「新冷戦」時代の始まりを告げる演説と受け取る者もいるようだが、米中関係はどこへ向かっているのだろうか。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 米中関係はかねてから協調と対立の二面性を持つと指摘されてきた。相互依存の経済関係によって極端な関係悪化は回避できるものの、台湾や南シナ海などの問題があるため非常によくもならないとの分析だった。

 ところが米中関係は現在、貿易戦争に始まり、全面対決的様相を見せ始めている。そもそも両国間には価値・体制と世界秩序をめぐって根本的な対立が潜在している。これが今やはっきりと表面化しているのである。

 価値・体制をめぐっては、米国は自らが尊重する価値や体制は普遍的なものだとみなして中国もそれを受け入れるべきだと主張するのに対し、中国はそれとは異なる価値や体制も認めるべきだと主張している。

 世界秩序については、米国は一超多強の現在の秩序を維持しようとしているのに対し、中国は多極化世界を望み、世界はそれに向かっていると考えている。これはいわゆる大国の興亡にかかわる問題であり、構造的な関係悪化要因と言えるだろう。

 なぜ今なのか。中国の台頭は今に始まったことではないが、中国の経済力が米国を上回る可能性を米国の人たちが強く意識し始めたことと関係しているのではないだろうか。

 中国に追い抜かれてナンバーツーになるかもしれないという、少なくとも一部の米国民にある「被害者意識」が、トランプ政権の強硬な対中政策の背後にあり、それを支えているのではないかと思われる。

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