【専欄】「一帯一路」への事実上の協力 第三国インフラ投資のリスク (1/2ページ)

中国の習近平国家主席(右)と安倍晋三首相=9月12日(代表撮影)
中国の習近平国家主席(右)と安倍晋三首相=9月12日(代表撮影)【拡大】

 安倍晋三首相がようやく訪中し、日中首脳交流復活のきっかけを作るとともに、経済分野でもいくつかの協力案件が動き出した。中でも注目されるのが「第三国のインフラ投資」の推進である。中国が展開している巨大経済圏構想「一帯一路」への事実上の協力と言ってもよかろう。だが同構想の展開には、各方面からの批判も多い。日本は火中の栗を拾わないように、十分な注意が必要だろう。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 「一帯一路」のこれまでの展開には多くの問題点を含んでいる。既にいくつかの国から、中国のやり方に対する不満が噴出しており、このままいけば「一帯一路」は空中分解しかねない。日本はこうした現状をまずしっかりと把握しておかねばならない。

 「一帯一路」と言うと、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟問題ばかりが議論の対象になりがちだが、AIIBの資金量は「一帯一路」全体の資金量のごく一部でしかない。主要なプロジェクトをみると、資金面では国家開発銀行と中国輸出入銀行が中心となり、建設面では中央企業(国有資産監督管理委員会の管理下にある国有企業)と呼ばれる巨大国有企業が請け負うケースが多い。

 ところが海外展開に不慣れなこともあって、金利が高すぎたり、軍事・安全保障面の思惑が垣間見えたりする。また環境への配慮に欠けたダムなどの案件では、周辺住民の反発を招いたりしている。

 現状把握をせずに、日中関係の風向きが変わってきたからと言って、安易に「一帯一路」に関与し、ブーム状態を作り出すことがあれば、後で手痛いしっぺ返しを被ることになろう。

特に注意をすべきこと