【専欄】急拡大する中国ロボット市場 貿易戦争激化で部品不足も勢い止まらず

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 まだ人口が増え続けている中国において、ロボット市場が急拡大している。中国政府が掲げる製造業強化に向けた長期戦略「中国製造2025」でも、重点分野の一つとして「ロボット」が掲げられている。米中貿易戦争のあおりを受けて、ロボット製造の部品供給に影響が出始めているが、拡大基調に変化はあるのだろうか。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 ロボット市場が拡大してきたのは2012年ころからだ。「中国ロボット産業発展報告」(18年版)によると、18年の市場規模は87億4000万ドル(約9900億円)になっている。13~18年の6年間の年平均伸び率は29.7%という成長ぶりだ。

 内訳をみると、最も多いのが産業用で、全体の7割強を占めている。17年には生産台数が13万台を超えた。政府は20年までに10万台を目標にしていたが、前倒しで軽く突破してしまった。とりわけ沿海部では、工場の労働力不足が年々、深刻になっている。しかも、中国の労働者は離職率が高いことから、生産水準の安定化のためにも、ロボット導入を図る企業が増えている。

 次いで多いのが教育、医療、公共サービスの分野で、2割強を占めている。中でも人気なのが教育分野だ。簡単なプログラムを作ってロボットに組み込めばさまざまな応用動作ができることから、用途が広がっている。このほかに異常気象、鉱山事故、火災など災害用にも使われ始めている。

 全国のロボット関連企業は、17年末で6500社に達している。広東省深セン市で教育ロボットの「UBTECH」を訪問した。まだ創業から6年目だが、すでに昨年の売り上げが20億元(約330億円)に達していて、企業評価額が10億ドル以上のユニコーン企業入りしている。

 創業者の周剣氏は米マイクロソフトで20年働いた経歴の持ち主。16年旧正月のテレビ特別番組で、なんと540台の同社製ロボットの集団ダンスを披露し、一気にロボット人気を広げてしまった。

 半面、競争が激しく、市場から撤退するところも少なくない。しかも米中貿易戦争の激化で、部品不足から生産に支障を来すところも出始めている。

 それでもロボット導入の勢いは止められない。大学や企業などを対象にしたロボット関連の論文数調査でも、中国は米国を上回りトップとなっている。中国のロボット市場は、問題を抱えながらも、量から質重視へとレベルを高めていきそうだ。