【専欄】海南島 発展の行方は 拓殖大学名誉教授・藤村幸義

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 中国の海南島は1988年に「経済特区」に指定され、広東省から分離して省にも昇格した。中国では「第2の台湾」、「中国のハワイ」とか言われ、中央指導部からの期待も大きかったはずだ。ところが、その後の発展ぶりはいまひとつ。今秋には、中国で12番目の「自由貿易試験区」にもなったが、どのような発展を目指しているのか、いまひとつ見えてこない。

 海南島が中国で30番目の省に昇格した直後に、現地を視察した。海口市内の目抜き通りには「祝海南省成立」の横断幕が掲げられ、祝賀ムードがいっぱいだった。鉄鉱石などの資源は豊富だし、南部の三亜にはリゾート開発の夢もある。開発に一役買おうと、フロンティア精神に燃えた若者たちが中国各地から移住してきた。

 それから30年。確かに三亜には高級リゾートホテルが立ち並び、昨年には海外からの観光客が100万人の大台を突破した。しかし「2018中国旅游都市ランキング50」(観光客数、観光消費額、交通の便利さなどを総合評価)をみると、三亜は47位と低い。トップ3の北京、重慶、上海には遠く及ばない。

 海南島は物価が高いという声をよく聞く。レストランなどで法外な値段を請求されるケースも少なくない。投機資金の流入で不動産も高騰している。中国の金持ちが別荘を持つには最適かもしれないが、一般観光客は敬遠しがちとなる。観光以外の産業の開発も進められはしたが、大きな成果は挙げられなかった。省別の域内総生産(GDP、2017年)をみても、海南省は4462億元(約7兆2800億円)で、順位は28位と下から数えた方が早い。経済特区と言っても、大きく発展した深セン市(2017年のGDPは2兆2438億元)に比べると、5分の1の規模でしかない。

 新たに指定された「自由貿易試験区」では、全島を対象とし、上海など他の自由貿易試験区よりも大胆な各種優遇策を導入する。観光だけでなく、現代型農業、ハイテク産業などにも力を入れていくという。

 だが、この島には利権がらみの事件が多すぎる。規制緩和を利用して、海外から輸入した自動車を島外に不法転売した過去の事件はあまりに有名である。また最近では、海南島最大の企業である海航集団の海外巨額投資や会長の「事故死」という事件もあった。こうした不透明さをなくすことが、発展への大前提となろう。