専欄

ブラック・コメディーだけじゃない! 中国映画『我不是薬神』が描く現実 (2/2ページ)

 皮肉なことだが、映画の公開に合わせたかのように、ある事件が起きた。「長春偽ワクチン問題」である。ワクチン製造大手企業において、乳児用狂犬病予防ワクチンの生産過程に偽造があったのだ。ワクチンは子供の命を守るとりでである。そこに不正があったことは、全ての親たちの不信と怒りを買った。薬に対して、社会の注目が集まっていたことも、ヒットを後押ししたと言っていい。

 さて『我不是薬神』の反響の大きさに、政府も動き出した。李克強首相が、映画が社会的議論を引き起こしたことを受けて、抗がん剤の価格引き下げなどの措置を早期に実行するよう関係当局に指示したのである。「がん患者にとっては時間が命だ!」とし、政策の実行には「一層のスピードアップ」を明確にしたという。(人民網日本語版・18年7月18日)

 なぜ中国人は日本で薬を買いたがるのか、なぜ中国人は日本の保険制度を悪用してまでも、日本で医療を受けたがるのか。劇中に「世の中に病は一つしかない。誰にも治せない、貧困という病だ」というせりふがあるが、これを真実とすれば、発展を続ける「社会主義市場経済」の理念とは、大きく矛盾するような気がしてならない。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus