空のタクシー覇権競う ボーイング、エアバス…試験飛行が本格化

試験飛行を行ったボーイングの「空飛ぶタクシー」試作機
試験飛行を行ったボーイングの「空飛ぶタクシー」試作機【拡大】

  • エアバスが公開した「空飛ぶタクシー」の模型=昨年11月、アムステルダム(ブルームバーグ)

 米ボーイング、欧州エアバスの航空機世界2強による「空飛ぶタクシー」の開発競争が本格化してきた。ボーイングは試作機の試験飛行を完了し、エアバスも数週間以内に試作機の試験飛行を行う。技術開発が実用段階を迎え、関連市場が2040年までに300兆円を上回るとの予測も浮上している。

40年に300兆円市場

 ボーイングは1月23日、米バージニア州マナサスで、試作機の離陸、ホバリング(空中停止)、着陸の試験飛行を行ったと発表した。長さ約9.1メートル、幅約8.5メートルの同機は電動で、完全自動操縦。最大約80キロメートルの飛行が可能だ。続いて、水平飛行や垂直飛行から水平飛行への切り替えなどをテストするという。

 同社は17年、米配車大手ウーバー・テクノロジーズと共同で「空飛ぶタクシー」の開発を手掛ける米無人機大手オーロラ・フライト・サイエンシズを買収し、今回の開発につなげた。

 ウーバーは同日、「空飛ぶタクシー・サービス『ウーバーエア』で使用する機体の準備が順調に進んでいる。23年に、米ダラス・フォートワースやロサンゼルスを皮切りに商用サービスを開始できそうだ」と表明した。

 ボーイングは既に、約227キログラムまで輸送できる「空飛ぶタクシー」の貨物機版を開発しており、工場などの施設内での試験飛行に成功している。年内には施設外で試験飛行を行う計画だ。

 一方、エアバスも1月23日、空飛ぶタクシー「シティエアバス」の試験飛行をドイツのドナウヴェルトにある同社ヘリコプター工場で行うと発表した。試作機は4人乗りで、完全自動化の確認に焦点を当てるため、最初の試験飛行は無人で行う。小型無人機「ドローン」に似た外観のシティエアバスは都市上空を地上の自動車の3倍の速度で飛行。電気モーターで駆動し、垂直離着陸が可能。早ければ23年にも実用化が見込まれる。

 仏エアバス・ヘリコプターズ広報担当のギヨーム・シュトイアー氏によると「試験は単純な離陸から始め、徐々に安全性などのテスト課題を加える。運用に当たっては規制の状況によって、パイロットを人員に含めるか選択する」と説明した。

 エアバスは、米シリコンバレーにある研究開発拠点「A3」で、昨年、1人乗り自動操縦の空飛ぶタクシー「バハナ」の初飛行を完了している。

インテルも参入

 「空飛ぶ車」の開発を急いでいるのはボーイングやエアバスだけではない。米半導体大手インテルや中国のドローン・メーカー、EHANG(広州億航智能技術)が「空飛ぶ車」の試験飛行を行っている。

 米金融大手モルガン・スタンレーは、40年までに自動操縦技術の関連産業が2兆9000億ドル(約317兆492億円)に達すると予測している。(ブルームバーグ Anurag Kotoky、Christopher Jasper)