中国の豚コレラ感染商機に タイの複合企業が経営拡大

上海で行われた食品見本市で提供される豚肉(ブルームバーグ)
上海で行われた食品見本市で提供される豚肉(ブルームバーグ)【拡大】

 中国で感染拡大が続くアフリカ豚コレラ(ASF)が、小規模養豚業者に壊滅的打撃を与えているのを尻目に、同国で養豚事業を営むタイの大手企業が経営規模の拡大を急いでいる。

 東南アジアでコンビニエンスストアのセブンイレブン店舗の運営や、農作物の種子、食肉などを販売するタイの食品複合企業チャロン・ポカパン(CP)グループは、2020年中に中国での飼養頭数を現在の2倍の1000万頭に増やす計画だ。同社の中国部門は規模拡大の狙いを「このレベルの経営規模があれば、豚の健康確保に不可欠なバイオセキュリティー(防疫対策)が可能になる」と説明する。

 CPグループ傘下のチアタイ・インベストメントのシニア・バイス・プレジデント、チー・シェタン氏(北京在勤)は「産業全般を危機に陥れたASFは、大規模農場には好機をもたらしている。感染拡大により防疫対策に対応できない家族経営の農場が閉鎖に追い込まれているが、大規模農場にとっては拡大のチャンスだ」と話した。

 中国政府によると、致死率、感染率とも非常に高いASFは、昨年8月に中国で感染が発見され、現在24省に拡大。これまでに90万頭を超える豚が殺処分された。

 チー氏は「CPグループは、農場の安全管理を可能にするために、飼料生産から解体処理まで行う包括的産業チェーンを創設する。感染拡大が続けば、農場や解体処理施設の予定建設件数を増やす。30年までに飼育数を4500万頭にする長期計画に遅れが生じる可能性がある」と述べた。

 ラボバンク・インターナショナルによると、ASFの影響で農場では、出荷に伴う飼育補充頭数が20%近い減少になる可能性がある。チー氏は「売り上げは新たに導入された検疫規則の影響を受けたが、南西部の豚肉価格上昇が恵みとなり、大規模農場は収益を上げた」と話した。

 CPグループは鶏肉生産でも既に中国最大手だが、ASF感染拡大のさなかでの肉の消費増大を目の当たりにし、工場の新設と取得により年間鶏肉生産を2倍の10億羽にする目標を中期計画に盛り込んだ。

 快進撃はCPグループ下流の食品販売部門にも波及。中国の中流家庭に向けて調理済み食品の生産拡大のため3番目の工場を建設中だ。広報担当のギャリー・チュン氏は「調理に時間をかけたくない人が増えており、冷凍餃子などは長年人気が高く成長が見込まれる」と述べた。(ブルームバーグ Niu Shuping)