政策180度転換に「陰謀説」 米金融当局で何が起きているのか

ニューヨーク証券取引所に設置されたモニターに映し出されたFRBのパウエル議長=1月30日(ブルームバーグ)
ニューヨーク証券取引所に設置されたモニターに映し出されたFRBのパウエル議長=1月30日(ブルームバーグ)【拡大】

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ら金融当局者は、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策運営姿勢を180度転換した。これを受けて、当局内部でいったい何が起こっているのか、金融市場などでは様々な「陰謀説」がささやかれている。

 具体的には金融市場とトランプ大統領のいずれか、もしくはその両方からの利上げ停止要求に金融当局が単に屈しただけだというものがある。また、当局で政策方針の変革があり、インフレ率を意図的に2%の目標を上回る水準に押し上げようとしているといったうがった見方も出ている。

 このほかの可能性としては、パウエル議長が世界経済について何か恐ろしい事態を把握しているのに、投資家は何も察していないとするお決まりの説がささやかれている。議長は金融市場に不意打ちを食らわせたがる傾向があるとの見方もある。

 金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は1月30日、追加利上げを当面見送る方針を示すとともに、次の動きが利下げとなる可能性にも道を開いた。わずか6週間前には、政策金利の「幾分かのさらなる漸進的引き上げの軌道にある」と表明したばかりだった。一方で、2019年の米経済は堅調な成長が見込まれ、インフレ率は当局目標近辺で推移すると引き続き予想している。

 パウエル議長はFOMC後の記者会見で、世界経済の成長鈍化や金融情勢の引き締まり、英国の欧州連合(EU)離脱や米中通商摩擦といった地政学的リスクを列挙して、姿勢の転換を説明しようとした。

 しかし、米金融当局が昨年4回目の利上げを決めて2019年の利上げ回数見通しを2回とした昨年12月の時点でも、これら一連のリスクは既に顕著となっており、議長の説明には難があると言わざるを得ないだろう。(ブルームバーグ Rich Miller)