新興ヘッジファンドの悲哀 採算ライン上昇、節約強いられる

ブラント・ルービン氏はヘッジファンド業界で生きる厳しさに直面している=ロンドン(ブルームバーグ)
ブラント・ルービン氏はヘッジファンド業界で生きる厳しさに直面している=ロンドン(ブルームバーグ)【拡大】

 ヘッジファンドを昨年立ち上げたブラント・ルービン氏(39)は、このキャリアがかつてのように億万長者への近道ではないことを思い知らされた。

 同氏は2017年にロンドンのルクソール・キャピタルを退社し、自ら「ボー・キャピタル」を設立、家族や友人、かつての顧客から5000万ドル(約55億円)近くを集めた。そこで現実の壁にぶつかった。5000万ドルを運用しても経費を賄うことができなかったのだ。

 「今やそんなにおいしい商売ではない」とルービン氏は話す。追加資金を調達しようと100人余りの投資家に声をかけたが、新興のファンドを敬遠する風潮の中でうまくいかない。しかし「無限でない資金を減らすのは居心地が悪い」と言う。

 そこで、同氏と2人の同僚は節約することにした。見込み顧客を勧誘するための出張では1泊500ドルのホテルに泊まるのをやめ、相部屋の宿泊施設(ホステル)に泊まる。ノルウェー・エアシャトルなどの格安航空会社(LCC)を使う。ウーバーに配車を頼まずに地下鉄に乗る。

 ボー・キャピタルのオフィスはメイフェアのような高級住宅街ではなく、観光名所のコベントガーデンの庶民的なステーキハウスの上階にある。

 コスト上昇とリターン低下で、採算が取れる運用資産の最低額が切り上がり、新興のヘッジファンドは苦戦を強いられている。かつてなら5000万ドルの運用資産に対して徴収する手数料で経費を賄うことができた。今は多くの場合、最低2億ドルが必要だと、英米のヘッジファンドを顧客に持つ法律事務所のシモンズ・アンド・シモンズは説明する。そこにたどり着くことの難しさも増した。業界データ提供会社ユーリカヘッジによれば、新設のヘッジファンドの平均運用資産は2000年に比べ72%減の2800万ドルだという。

 ジュネーブを本拠とするミラボー・アセット・マネジメントのヘッジファンド責任者、バカール・ズベリ氏は「毎年、2本か3本の大型の新ヘッジファンドに投資家が集中する。他のファンドは少ない額を運用しながら実績を残すように努め、良い資金調達のチャンスが訪れるのを祈るしかない」と話した。(ブルームバーグ Suzy Waite)