インタビュー

高齢者向け金融支援の在り方考える 駒村康平さん

 慶応大教授、ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長 駒村康平さんに聞く

 --金融ジェロントロジー(金融老年学)とは何か

 「比較的裕福な高齢者の金融をサポートする研究分野として米国で始まったが、日本では75歳以上が急激に増える中、社会的な意義を持つ。金融資産のかなりの部分が高齢者に偏り、人口構成の高齢化より金融資産の高齢化のほうが速いスピードで進んでおり、学問がどう対応するかが課題だ。加齢に関する研究を経済学や社会科学に取り込み、現実の政策やサービスなどに生かしたい」

 --高齢者が増えるとどんな問題が起きるのか

 「今後の日本は高齢化とともに認知症になる人が増えていく社会だ。認知機能が十全な人と認知機能が落ちた人で二分されるなら、落ちた人には成年後見制度を使えばいい。だが、実際は自分の認知機能がどれだけ落ちたか分からないグレーゾーンの人が増え、その人たちが大きな経済力を持つ。団塊の世代が80歳を超える2030年にはいよいよ資産管理が難しくなり、金融詐欺の問題に加え、(多数の高齢者が市場から退場を余儀なくされることで投資が減り)株式市場にも深刻な影響が出てくる」

 --顧問を務める日本金融ジェロントロジー協会で研修制度を始める。どんな対応が必要になるのか

 「高齢化社会で金融サービス、金融商品、金融をめぐるルールがどうあるべきかを考えた。金融機関のスタッフはグレーゾーンにいる人が認知機能をどの程度維持できているか見抜き、サポートの仕方を考えなければならない。不適切な金融資産は売ってはいけないという高い倫理観も必要だ。医学の分野を含め、金融の現場にいる人の知識向上につながるようテキストを作成した」

 --高い倫理観をどう担保すればいいのか

 「相手の認知機能や判断力の低下につけ込むビジネスは厳しく非難されるべきだ。協会で資格を作り、知識を不適切に使った人への対応も考えなければならない」

【プロフィル】駒村康平

 こまむら・こうへい 慶応大大学院博士課程単位取得退学。国立社会保障・人口問題研究所、東洋大学などを経て、2005年から慶応大教授。厚生労働省顧問、社会保障審議会委員、金融庁金融審議会市場ワーキング・グループ委員などを歴任。千葉県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus