国内

貿易赤字 世界経済リスク、火種くすぶる

 2019年度上半期(4~9月)の貿易統計では、中国経済の減速により対中輸出が低迷し、全体の輸出を押し下げた。米中が11日に貿易協議で「部分合意」に達したことで、市場では「米中貿易摩擦は一段落するだろう」と安堵(あんど)の声も上がるが、英国の欧州連合(EU)離脱問題など火種もくすぶる。世界経済の先行きは不透明感が拭えず、日本の輸出がさらに下押しする恐れもある。

 中国向けの輸出はモーターとエンジンを併用するハイブリッド車など自動車は伸びたが、半導体の製造装置が32.2%、自動車部品が27.1%と大幅に下落した。

 米中摩擦に関しては、中国が主に米農産物の購入を増やす代わりに、米国は15日に予定していた中国への大規模な制裁関税引き上げを見送り、両国の対立激化が回避された。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「トランプ米大統領も来年の大統領選を見据え、景気悪化は避けたいのでは」と米中摩擦が収束に向かうとの見方を示した。

 ただ、米中貿易摩擦以外にも英国がEUからの「合意なき離脱」を強行するリスクや、くすぶる米欧の関税合戦が泥沼化し、両者の深刻な対立へと発展する恐れもある。

 国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、今年の世界全体の実質経済成長率を3.0%とし前回の7月時点から0.2ポイント下方修正。米中の部分合意は織り込まれていないがリーマン・ショック後では最低水準。

 世界経済をめぐるリスクが顕在化した場合、日本からの輸出も低迷が続き、日本企業の投資や個人の消費意欲も冷え込みかねない。増税による消費への影響も懸念され、南氏は「今後も予断を許さない状況が続く」としている。(林修太郎)

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