経済インサイド

日米貿易協定に日本は負けたのか 真価問われる茂木外相 (1/2ページ)

 日米貿易協定が正式に署名され、来年1月1日からの発効に向け、国会審議が始まった。協定締結時に「両者痛み分け」、「米国の勝ち」などの報道が目立つなか、「日本の勝ち」との評価はほぼ皆無だった。国会審議の焦点と政府、野党の主張をまとめた。

 この協定について、野党は「日本から輸出される自動車関税が撤廃されず、農産品の市場開放をし過ぎた」などとして、国会で厳しく追求した。国民民主党の玉木雄一郎代表は「米国から(みたら)ウィンは多かったと思うが、日本側にとっては、単に農産物の関税を譲るだけになっている」などと反発している。

 一方の茂木敏充外務相は「経団連や日本自動車工業会、関係団体がウィンウィンといっている」などと、日本が妥協しすぎとの批判に対し、こう反論した。

 コメの無税枠を設定しなかったことなどから、自民党内や政権内からは協定締結を評価する声が上がっている。その功績もあって、茂木氏は「次期総裁候補」にも躍り出たほどだ。

 政府、野党間でこのような温度差が出ているのはなぜなのか。

 野党側は「米国が離脱する前の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、基幹産業の自動車の2.5%の関税を25年かけて撤廃するとしていたのを、解決できなかったのは問題」とする。

 これに対し、政府側は「そもそも、トランプ大統領が最大25%の追加関税をかけるとしていたのを回避できたのが成果。メキシコなどは要求を引っ込めるかわりに、数量規制の導入に踏み切らざるを得なかった。農産品も当初の予定通り、TPP以上の関税水準は認めなかった」と強調する。

 与野党で交渉に対するスタート地点、着地点の考え方がまったく違うことがその大きな理由といえる。

 実際、日本側の交渉では、自動車関税の撤廃を重要視していなかった。「25年かけて2.5%の関税撤廃なんて、為替で相殺される程度。逆に自動車関税を声高に叫べば、トランプ米大統領が30年、50年などと言い出しかねない」と判断していたようだ。

 米国側は「雇用を守るのに、自動車の関税は下げられない」と主張していたこともあり、日本側は、農産品の関税引き下げを認めない項目を増やすなど、工業品、農産品のバランス重視にシフトした。

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