海外情勢

新型肺炎 低い致死率でも感染力脅威 野放しなら世界市場動揺

 中国の中央に位置し、交通の要衝でテクノロジー産業が集積する武漢では1月初め、新型で未知のウイルスに感染した61歳男性の生命を医師らが懸命に救おうとしていた。男性は以前から患っていた腹部の腫瘍と慢性的な肝臓の病気に加え、重度の肺炎で入院した。抗感染症薬は役に立たなかった。人工肺を通じて血液が送り込まれたが、敗血症性ショックで多臓器不全を起こし、1月9日に亡くなった。

 通常の死亡例ではなかったため、武漢市政府は公式の発表文で公に注意を促した。昨年12月に新型コロナウイルスに関するニュースが表面化して以来、世界中の感染症専門家の注意を引いていたが、これが知られている中では新型ウイルスによる初めての死亡例だった。

 当初から専門家らは、ウイルスが変異して感染拡大が容易になる可能性を懸念。効果的な治療法やワクチンはないからだ。ウイルスの致死率が低いとしても、感染拡大を野放しにしておけば世界の公衆衛生は混乱し、経済損失や世界的な市場の動揺を引き起こす恐れがある。

 中国当局はこれまでに、1人の感染者が3人にうつした事例を報告。世界保健機関(WHO)によると、人から人への感染は既に中国国外でも起きている。

 オスロを拠点とする感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)のリチャード・ハチェット最高経営責任者(CEO)は、致死率が5%に満たなかったものの、世界人口の最大3分の1が感染したとされる1918年のインフルエンザ大流行を例に挙げる。同氏によると、当時の感染者の大多数はインフルエンザの症状だけで済んだが、感染が広範囲に及んだため最終的には5000万人が亡くなったと見積もられるという。

 「この分野の関係者全てにとっては、このような展開が不安で、心をよぎるシナリオだ」とし、「事態がどのような方向に転ぶのか、誰も分からない」と同氏は語った。(ブルームバーグ Jason Gale、Brian Bremner)

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