海外情勢

プーチン氏「除霊」を諦めず 支持集める呪術師、地方の不満代弁

 ロシアで人々が経済的に苦しんでいるのは、プーチン大統領に悪霊がついているからだ-。極東サハ共和国の呪術師が大統領に「除霊」の儀式をするため、モスクワまでの約8000キロの道のりを踏破すると宣言。当局に阻まれても諦めない姿がインターネット上で支持を集め、地方の不満を代弁する存在になっている。

 呪術師は、サハ共和国出身のアレクサンドル・ガビシェフ氏。2年ほどかけてモスクワに行き、クレムリンに近い赤の広場でプーチン氏の除霊を行う計画で、2019年3月、サハ共和国首都ヤクーツクを出発した。

 ガビシェフ氏がリヤカーを引いて歩く様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」で拡散。約3カ月後、約1500キロ離れた極東チタに到着し「これからはプーチン(大統領)に従わなくていい。自由に生きる。これがルールだ」と数百人の群衆に呼び掛けた。

 サハ共和国は、外見が日本人と近いヤクート人が多く住み、独特の文化や信仰を持つ。シャーマニズムもその一つ。ガビシェフ氏は大学卒業後、配水管工や清掃員として働き、10年以上前に妻を亡くしたことをきっかけに呪術師になった。

 19年8月末、チタから約400キロ先のウランウデに入った。滞在中に実施された統一地方選でプーチン氏の与党が圧勝。市長選があったウランウデでは、選挙結果への不満や不正を疑う声が渦巻いており、ガビシェフ氏の言葉は共感を呼んだ。

 ウランウデを離れた直後の同9月19日、ガビシェフ氏は当局に拘束される。「精神疾患の治療が必要」と判断され、ヤクーツクに送り返された。反政権の活動を扇動した疑いで取り調べを受けたという。

 「権力が私を恐れている証拠だ」。同10月下旬、ヤクーツク近郊の親族宅に身を寄せるガビシェフ氏は語気を強めた。「今の大統領に正しい政策は無理だ。すぐに除霊しなければいけない」と強調。「準備が整い次第、再びモスクワを目指す」

 同12月8日、ガビシェフ氏は歩きだす。気温は氷点下40度まで下がり、道路は雪に覆われていた。しかし、当局は2日後に拘束。サハ共和国から出ることを許さなかった。

 「国を正しい方向に導くという意思は共通だ」として反政権運動との連携を目指すガビシェフ氏。支援者のコトコノフさんは「大統領が取りつかれているかどうかには興味ない。多くの支持者も同じだろう。地方は苦しい。この怒りを(中央政府に)伝えたいだけだ」と語った。(ヤクーツク 共同)

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